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- 時事雑感(2026年2月号)
2026年の世界は、米国によるベネズエラへの空爆とマドゥロ大統領の拘束、夫妻の米国への移送で幕を開けたと言って良い。国連憲章に抵触し、国際法に違反するとの批判が多い今回の一件は、一方的な理由でウクライナへの軍事侵攻を行っているロシアと同列に扱われてもおかしくはない。「ロシアは悪くても米国は良い」(あるいはその逆)というダブルスタンダードに対する批判も起こり、当事国以外も微妙なバランス感覚が問われている。
かねてよりトランプ米大統領は米国第一主義を掲げ、米国以外への介入(支出)を極力控えることを主張、米国以外の米軍基地への当事国の負担金を引き上げ、国際機関への拠出金を抑制してきた。これに対し、ベネズエラの一件は矛盾するようにも見える。トランプ大統領は米国の安全保障の観点から西半球における米国の優位性を強めることは重要だとして、欧州に対する南北米大陸における米国の勢力圏を尊重するモンロー主義に例えて“ドンロー主義”としている。ベネズエラをはじめとした中南米諸国の反米・親中露の動きを警戒し、ベネズエラの原油やグリーンランドの資源を確保する野心を隠さない。
こうした動きの背景には、経済・軍事面で巨大な力を持つ中国への対抗に、米国が限界を感じているからではないかとの見方がある。西半球に資源を集中しなければ、米国の地政学的リスクを抑えることは難しくなっているとすれば、日本を含む東半球は米国に“おんぶに抱っこ”ではいられなくなる。
折しも、中国政府は日本への経済制裁として、軍民両用品の輸出抑制方針を打ち出した。軍事利用に当たらないかどうかの審査に時間がかかれば、実質的な禁輸に繋がり、レアアースなどの輸入が滞る。これは、自動車を始めとした日本の基幹産業に影響を及ぼすリスクがある。圧力をかける中国に対し、米国のサポートが弱くなることを覚悟して、日本は独自のスタンスを模索する必要があるかもしれない。
嶌峰 義清
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

