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注目のキーワード『麦の秋』

宍戸 美佳

麦の秋という表現があります。成熟した麦の刈り入れの時期を意味し、初夏、すなわち5月から6月にかけての季語だそうです。田植えが終わり、その稲の緑が少しずつ濃くなるという風景に馴染んできた筆者にとっては、麦が実る姿は写真で見る世界ですが、黄金色に輝く麦が、青さを増す空に映える実景はさぞ美しいのだろうと想像します。

ひとくちに麦といっても様々な種類がありますが、日本国内では、主に小麦、二条大麦、六条大麦、およびはだか麦が生産されています。この4種について作付面積の内訳を見ると、78%と最も大きいのは小麦、次いでビールの醸造や焼酎の原材料となる二条大麦が14%、麦飯や麦味噌、麦茶にも使われる六条大麦が6%、そしてはだか麦が残り2%となっています(2023年度)。小麦の主産地が北海道ということはよく知られていますが、二条大麦は佐賀県、六条大麦は福井、富山、石川の北陸三県。そしてあまり聞きなれないはだか麦は愛媛県で多く作られており、大麦の中でも、子実の外皮が剥がれやすく、粒が裸になる種類の麦とのことで、こちらも麦飯などに使われます。

この麦にまつわる絵画に、フランスの画家ミレーが描いた「落穂拾い」があります。3人の農家の女性が収穫後の麦畑に落ちている穂を拾っている姿をとらえた、柔らかくもどこか厳かな作品で、学校の美術の教科書で観たという方も多いと思います。画中の女性たちが拾っているのは春に種蒔きした小麦の穂、したがって、晩夏から秋にかけての収穫時の農作業の様子を描いたとされています。北海道では、その86%を秋に種蒔きしているのとは対照的です。

日本における小麦の食料自給率はカロリーベースで18%(2023年度)と、およそ10年前の2013年度の12%から伸びています。このため、国産の小麦を使ったパンやお菓子などを口にする機会も増えているのではないかと思います。ブランド小麦も増えており、こうした銘柄や産地、あるいはどのような麦が使われているのか着目してみてはいかがでしょうか。

(総合調査部 政策調査グループ 次長 宍戸 美佳)

宍戸 美佳


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