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2024.11.21
ライフデザイン
人生100年時代
リスキリング・リカレント
Well-being『中高年者の学び直し~リスキリングと効果的なアップスキリング~』
伊東 千恵子
キャリアコンサルタントとして、中高年のクライアントから今後のキャリアの方向性や学び直しについての相談が増えていると感じています。働き方の変化や働く期間が長期化する中で、自身のキャリアをどうするべきか、多くの中高年者が不安を抱えています。今回は中高年者の学び直しについてリスキリングとアップスキリングの観点から考えてみたいと思います。
中高年者に学び直しが求められる背景
中高年者は勤続年数が長く、豊富な経験と知識を持っていますが、デジタル技術の急速な進展に対応するのは容易ではありません。現役で働ける期間が延びたことで、新しい知識やスキルの習得、すなわち学び直しがますます重要になっています。また、労働力不足に悩む企業にとって、中高年者が新しいスキルや知識を身につけることは、労働力の効率化に寄与し、企業の救世主として期待されています。
リスキリングとアップスキリングの違い
学び直しには「リスキリング」と「アップスキリング」があります。どちらも職業能力の向上において重要です。
- 【リスキリング】
新しい職業に就くため、あるいは今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、企業が従業員に必要なスキルを獲得させることを指します。もともとは、職業能力の再開発や再教育という意味合いで使われてきた言葉でしたが、デジタル化に伴って生まれる新たな職業や、仕様が大幅に変わった職業に就くために、新たな知識やスキルを習得することを指すようになりました。例えば、製造業からIT業界に転職するためにプログラミングを学ぶことなどが含まれます。
- 【アップスキリング】
既存の従業員が新たなスキルや知識を習得し、職務遂行能力を高めることを指します。技術の進化や業務の高度化に伴い、従業員が今後の業務に必要なスキルを磨くことで、組織全体のパフォーマンス向上や競争力の強化を目指します。これにより、従業員は新たな役割や責任を果たす準備が整い、企業は持続的な成長を支える人材の育成が可能となります。例えば、現在使用するソフトウェアの新しいバージョンを学ぶこと、業界の最新トレンドを学び業務を効率化することなどが含まれます。
アップスキリングの重要性
リスキリングは主にDXに対応できるようにデジタル技術の学び直しで用いられていますが、中高年者は新しい分野を学ぶことに抵抗感を持つ傾向にあります。現在戦力として活躍しているため学びの時間を取りにくい、また残された就労期間を考慮すると新たな技術を学習したところでリターンを回収できないのではないかという懸念、そして役職定年等になったことで仕事へのモチベーションが低下している場合もあります。中高年者のIT・DXリテラシー向上は企業にとって重要課題ではありますが、一から新しいことを習得する「リスキリング」よりも「アップスキリング」が現実的で効果的なアプローチと考えます。中高年者は既に多くの経験とスキル、カン・コツを持っています。今まで培ってきたノウハウを強化することは非常に実践的です。新しい分野に完全に移行するよりも、現在の職務に関連するスキルを深める方が効率的であり、キャリアの連続性を保ちながら労働市場の需要に対応できます。また、既存の知識を基にしているため、学習の負担が軽減され、学習意欲を維持しやすくなります。まずはアップスキリングをすることで自分の足場が固められます。そのうえで次に向かう方向性を考え、リスキリングを始めたらいかがでしょうか。
今後もキャリアコンサルタントとして中高年者の学び直しを支援し、彼らが持つ豊富な経験と新たに習得するスキルを融合させることで、社会全体の活性化に貢献していくことが重要と考えています。中高年者が今までの圧倒的経験と知識を活かしつつ、これからの社会にも必要不可欠な人材として、また本人が楽しくワクワクしながら働き続けられるようなキャリアを築くための支援を続けていきたいと思います。
伊東 千恵子
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。