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- Well-being『シニア世代の活性化~幻の妖精を活躍の場に~』
人財戦略の転換、経験・知識を再評価
企業や団体の経営層、人事・労務担当者と対話する中で、最近特に話題となり、相談を受けることが増えているテーマの一つが「シニア世代の活性化」です。
人的資本経営は当初、上場企業の情報開示義務(2023年決算期~)もあり、ベクトルが市場や若年層に向かっていた印象もありましたが、最近ではシニア層への対応も大きな関心事となっています。
また、「経験や専門知識が重視される職種」を中心に人手不足が深刻化し始めており、熟練人財の多面的な活用を目指す企業が増えていることも実感しています。
時代経過によるシニアイメージの変遷
終身雇用・年功序列が主流で、労働力も豊富であった時代は、年配の従業員はしばしば負債・コストと見なされていました。
「団塊の世代(1947~1949年生)」は高度成長期に成人を迎え、バブル期を支えましたが、晩年は景気低迷もあり「窓際族」と呼ばれることがありました。バブル世代(1965~1975年生)は好景気の中で大量採用されましたが、その後の失われた30年を経て「働かないおじさん」と揶揄されました。団塊ジュニア世代(1971~1974年生)はバブル崩壊後の景気低迷期に就職氷河期に直面。最近のバブル・団塊ジュニア世代はリモートワークの普及もあって、存在すら疑わしい「幻の妖精さん」と呼ばれることもあります。
日本の人口ピラミッドは「団塊ジュニア世代」以降、急激に減少しており、目の前の2030年にはバブル・団塊ジュニア世代が引退時期を迎えることで労働人口の減少トレンドは一気に加速し始めます。
キャリア・モチベーション向上への取り組み
キャリアには客観的要因(職位、収入)と主観的要因(やりがい、自己実現)があります。シニアのモチベーション低下の主な原因は、職位や収入の下降といった自身ではコントロールが難しい客観的要因です。一定年齢で役職定年などにより地位や待遇、給与が低下し、定年や再雇用に移行することでモチベーションが大きく低下するのは自然なこと。特に課長・部長といった管理職層の落ち込み幅が大きい傾向にあります。
一方、主観的要因は個人のコントロール(キャリア形成)が可能です。モチベーションの低下要因は個人の資質だけではなく、企業の制度や施策、環境に大きく依存します。企業は従業員のやる気を引き出すために、キャリアコンサルティング、スキルアップ・健康管理のためのプログラムなどの環境を整え、従業員の前向きな姿勢を支えることが重要です。
DX・AI時代におけるシニアの挑戦
シニアへの待遇改善、サポート体制の拡充、専門知識や経験を活用する施策によって、生産性向上や離職率の低下を実現している事例も増えてきました。高齢者雇用安定法の改正(2021年4月)や行政の支援プログラムなども、こうした取り組みを後押ししています。若い世代もこのような企業の姿勢や取り組み、身近な実例をロールモデルとして注視しています。
人生100年時代、現代のシニアは気力、体力ともにまだまだ現役です。これからは、DXやAIの進展により働き方は大きく変わりますが、主役は人であり続けます。豊富な経験と知識を「資産」として評価し、今後も投資し続けるべき「資本」として捉えることが、「幻の妖精」がポジティブに「シルバー世代」や「アクティブシニア」として活躍し、輝くための出発点です。
菅原 仁志
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。