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- Side Mirror(2024年11月号)
OECDは最新の世界経済見通しで、2024年と2025年の世界経済の成長率(実質GDP伸び率)をともに+3.2%と予測。世界経済はインフレ率の低下とともに底堅い成長を維持するとしている。確かに、今の市場にも、そうした“安心感”のようなものが漂う。
しかし、少し心配な数字もある。世界経済の羅針盤とも言われる、米国のISM製造業指数(以下、ISM指数)は、9月も47.2と好不調の分かれ目となる50を下回ったままであることだ。それも、2022年11月に49.0と50割れとなって以降、2024年3月に一度50.3と50を上回ったものの、それ以外はずっと40台後半の低空飛行が続いている。過去、これだけ長期間、このレベルにステイしていたことはない。ただ、50を割れていると言っても、GDPのマイナス成長に繋がるとされる42.4までにはだいぶ距離があるし、これまでも通常の景気循環の中で45近辺まで低下することは何度もあったので問題ない、という意見もある。FRBの利下げも始まったので、製造業も今が底で、ここから回復に向かうと考えていいのだろうか。
ISM指数は、株価との連動性が非常に高いことでも知られている。2000年以降の同指数とS&P500指数の前年比を並べてみると、2022年までほぼ同じ動きをしていることがわかる。しかし、2023年以降は、ISM指数が50割れの低空飛行を続ける一方、株価は、“Magnificent7”と呼ばれる一部企業が、AIムーブメントを背景に大きく上昇し、動きが乖離したままとなっている。ISM指数は今が底でここから回復し、株価の先行性が証明されるのか?それとも、株価が楽観的過ぎるのか?
実は、ISM指数と株価の大きな乖離は1995年にもあった。1994年のFRBによる大幅な利上げでISM指数は大きく低下、1995年から1996年にかけて50を下回っていた(ボトムは1996年1月の45.5)。一方、株価は1995年前半には、“ソフトランディング”をキーワードに上昇基調に転じている。1995年は株価の先行性が証明されたかたちだ。今回もソフトランディング実現で株価の先行性が証明されるのか。ただ、当時とは地政学の構図が大きく違うのが気になる。今回の結末は、果たして…。
佐久間 啓
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。