- HOME
- レポート一覧
- 第一生命経済研レポート
- Well-being『長い人生に何が必要か~豊かなシニアライフにはキャリア自律が不可欠~』
- 第一生命経済研レポート
-
2024.09.18
ライフデザイン
仕事・働き方
幸せ・well-being・QOL
Well-being『長い人生に何が必要か~豊かなシニアライフにはキャリア自律が不可欠~』
岡田 浩介
長い平均寿命
最近やや伸び悩みの傾向があるとはいえ、日本人の寿命は長い。
2022年簡易生命表によれば日本の平均寿命は男性81.05歳、女性87.09歳であり、約50年前の1970年と比較すると男女とも約12年の伸びである。ちなみに平均寿命とは0歳の平均余命であるが、60歳時点での平均余命でみると男性23.59年(83.59歳)女性28.84年(88.84歳)となっている。
これをもって巷では「多額の老後資金が必要だ」「長い老後生活が待っている」「仕事ばかりしてきた人はやることが無くて退屈するから趣味を探したほうが良い」という言説があふれているが本当だろうか。
働く期間も長期化
まず、生きている限り生活費はかかるから「寿命が延びればそれだけたくさんの老後資金が必要」と言うのは基本的に正しいことになる。もっともそれに合わせて働く期間も長くなっている。法令の改正もあり、定年後再雇用や定年延長により65歳まで働くことができる環境が整いつつある。実際に高齢者の就業率は年々上昇しており、令和6年度版高齢社会白書によれば2023年は65-69歳で52.0%が就労している。つまり「老後資金はたくさん必要だが収入を得る期間も長くなっている」という事ができる。
もうひとつ大切なのは「長い寿命」の中身だ。厚生労働省が発表する健康寿命というものがある。健康上の問題で日常生活に影響が出るような状態でなく、健康な状態を何歳まで維持できるかの平均である。こちらも徐々に伸びているとはいえ2019年時点で男性72.68歳、女性75.38歳である。平均寿命との差(男性約8年、女性約12年)は健康上の問題を抱えて暮らす平均的な期間というわけである。
逆に言うと元気よく働いたりスポーツや旅行を楽しんだりできる期間は大まかにいえば60歳時点で男性約11年、女性約13年程度しかないという事なのかもしれない。もしそのうち5年働き、65歳で引退するとすれば男性約6年、女性約8年程度となってしまい、意外に短いと感じる人も多いのではないだろうか。前述のように65-69歳でも52.0%が就労していることを考えれば実際はさらに短いという事になる。
「長い老後に備えて趣味を探しておいたほうが良い」というある意味優雅なモデルは過去のものとなり、「元気な限り働き続ける」というのが標準形になりつつあるように思える。
趣味よりも職業生活の充実が大切
これを聞いて「退屈しなくて済みそうだ」と考えるか「長く働くのはつらい」と考えるかは人それぞれだが、充実したシニアライフのために大切なことを一つ指摘しておきたい。
元気なうちは働き続けることを前提に考えると、職業生活を充実させることが趣味を探すこと以上に大切になってくる。単に生活費を得るためにいやいや働くのではなく、人生を充実させるためのツールとして働くことをとらえ、生きがいや楽しみを得つつ働くという、新しい意識が必要である。
例えば定年後再雇用となると職場での人間関係や立場・役割の変化が発生するが、従来の意識を引きずっている人はその点にストレスを感じることもあるだろう。自分が何のために働くのか、職場でどんな役割を果たすのか、改めて考え直す必要がありそうだ。
幸い各企業でも多様な働き方を促進する制度(副業の許可・起業支援・リスキルの促進・勤務体系の多様化など)が行われるようになってきている。若手社員だけでなく中高年社員こそこうした制度を活用し、自らの市場価値を意識しつつキャリア設計を考えるというキャリア自律の姿勢が求められているのではないだろうか。
岡田 浩介
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。