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- Side Mirror(2024年9月号)
国連から「世界人口推計2024年版」が公表されている。それによれば、世界の人口は今後 50 年間で増加し、2024 年の 82 億人から 2080 年代半ばには 103 億人でピークに達する見込みとしている。また、出生率は全世界で2.25であり、1990年の3.31から低下。多くの国で、再生産年齢(15歳~49歳)にある女性の割合が急速に低下するため、出生率上昇を目的とする施策が、人口規模に及ぼす影響は低下するとしている。そして、多くの国では、継続的な低出生率と高齢化による人口減少が、移民によって緩和されると予測している。
日本でも出生数の低下、人口減少が報道される機会は多いが、世界の人口については、インドが中国を上回ったことがニュースになるぐらいで、以前は多かった“世界”との比較を、最近、あまり目にしなくなった。それは、多くの分野で、日本の存在感の低下が当たり前になったからかもしれないが、常に現在位置を知っておくことは必要だろう。
2023年の日本の人口規模は世界で12位。65歳以上の比率は29.6%(1990年は12.2%)、中位年齢49.0歳(同36.9歳)は、いずれも主要国の中では1位だ。生産年齢人口(15歳以上64歳以下)のピークと、その国の経済力の相対的ピークは一致するとも言われるが、日本とドイツは、生産年齢人口が1990年代半ばにピークを付け、中国、韓国、欧州主要国も2010年代にはピークを迎えている。予測では、台頭するアジア各国も2030年代後半から2050年代にかけて続々とピークを迎える。一方、英国では2040年代まで拡大を続け、米国、カナダ、オーストラリアは予測期間中(~2100年)、生産年齢人口の拡大が続く見通しだ。
日本含め低出生率国では、少子化、人口減少は、克服すべき課題として議論されているが、世界を見渡すと、SDG’sの実現、貧困対策、ウェル・ビーイング確保といった観点から、寧ろ歓迎する議論もあり、人口問題は複雑だ。ただ、「国連世界人口推計」からは、今後、“移民”が世界中で議論の中心になっていくことを予感させる。
佐久間 啓
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。