- HOME
- レポート一覧
- 第一生命経済研レポート
- マーケット見通し『厳選指標』(2023年10月号)
- 要旨
-
このページでは筆者が注目する指標を四半期に一度解説します。金融市場参加者の中心的な関心は常に変化しますので、同一の指標を定点観測するものではありません。

-
代表的な物価指標の一つであるGDPデフレーターが前年比+3.4%と伸びを高めています(1次速報値)。これは現行基準で遡れる1995年以来で最大の伸び率です。
-
ここでGDPデフレーターについて解説すると、簡単に言えば「交易条件を加味した物価指標」です。交易条件とは貿易における稼ぎ易さで、輸出価格を輸入価格で割って算出されます。
-
輸入価格が低下したり、輸出価格が上昇したりすると、GDPデフレーターは押し上げられるように計算されます。現在のGDPデフレーター上昇は、国内の労働コスト増加に伴う価格転嫁と、原油価格下落が重なった結果です。
-
こうしたGDPデフレーターの上昇が持続的なものになると日銀がマイナス金利を撤回する可能性が高まります。消費者物価だけでなく、こちらも注目が必要です。

-
米国のインフレは人手不足に伴う労働コストの異常値的上昇が原因です。原油価格下落によって全体のインフレ率は3%近傍まで鈍化しているにもかかわらず、食料- エネルギーを除いたコア物価が5%近傍で高止まりしています。
-
人手不足の要因を紐解くと、労働参加率の低下が背景にあることがわかります。労働参加率とは、16歳以上人口に占める働く意思のある人の割合ですから、その低下はコロナを契機に労働市場から退出した人が多かったことを意味します。
-
もっとも、労働参加率が緩やかながら上昇する下で、ここへ来て人手不足は快方に向かっている模様です。労働市場に人々が戻ってきたことに加えて、移民流入数の回復が効いているとみられます。この間、求人件数は明確に減少し、平均時給も低下してきました。この傾向が続けば、FRBは利上げを停止すると見込まれます。
藤代 宏一
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

