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食品ロスは「本来食べられるにもかかわらず捨てられる食品」と定義されています。我が国の2020年度の食品ロスは522万トンで、新型コロナウイルスの影響による外食機会の減少等により過去最少になりました。しかし、この522万トンは世界中で飢餓で苦しむ人々に向けた食糧支援額の1.2倍に相当し、また国民1人当たりに換算するとおにぎり1個分、お茶碗1杯分を毎日捨てている計算になります。
この食品ロスは食べ物を無駄にするだけはありません。その運搬などに大量の二酸化炭素を排出することにより環境負荷を増大させます。また、生産や流通過程において多くのコストがかかっており、世界で毎年捨てられる13億トンの食品ロスにかかる経済的損失は約80兆円とも言われています。
まさに「百害あって一利なし」の食品ロスであり、2015年に国連サミットで採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」でも食料の損失・廃棄の削減が目標とされています。具体的には、目標12「つくる責任つかう責任」のターゲット12.3では「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる」としています。
独ベルテルスマン財団等が毎年発表している「SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORT」では、2021年度の日本の総合スコアは世界18位、目標12は「重要な課題が残っている」という評価を受けており、まだ達成が視野に入っているとは言い難い状況です。また、国内外で発生する紛争や災害等により、食料安全保障や国内の食料自給率向上などが注目を集めており、食品ロス削減に向けた事業者、消費者双方の取組みが求められています。
5月8日より新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザ相当の5類に変更され、今後は外食の機会が増える人も多いでしょう。522万トンの約半分の247万トンが家庭系食品ロスですが、事業系の中にも外食産業の81万トンが含まれるなど、我々消費者の行動が食品ロス削減の達成を大きく左右します。もったいないから残さずに食べることは大切ですが、健康を害しては元も子もありません。必要なものを必要なだけ消費する。人・社会・地域・環境に配慮した消費行動をとる「エシカル消費」こそ、食品ロスを確実に削減に導く処方箋のように思います。
摩尼 貴晴
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

