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QOL向上の視点『人生100年時代の資産形成・運用に活かせる二つの制度』

馬場 長利

人生100年時代と言われる今日、充実した日々を送るためには長くなった人生を支える資産作りが大切になる。資産形成(貯める)、資産運用(殖やす)には多種・多様な手法があるが、老後資金も視野に入れた資産作りとなると、そこに堅実さや安全さという要素も必要になってくる。さらに有利性も考慮すると、非課税枠などが適用になる国の制度を活用することが有効と言える。

資産作りに有効な制度の一つが税制優遇制度の「NISA」である。NISAには現在「一般NISA」、「つみたてNISA」、「ジュニアNISA」があり、その中でも投資初心者が利用しやすい制度は「つみたてNISA」であろう。

「つみたてNISA」の特長を挙げてみると、

  1. 運用面でのリスク軽減のキーワードである「長期」「分散」「積立」の3つを満たしていること。つみたてNISAで取り扱う商品は、法令上その3つの条件に合致した投資信託のみである。また、一般NISAでは株式や投資信託など多数の商品が扱えるメリットがある一方、市場の投資信託本数だけを見ても5,913本(2021.1.15投資信託協会)もあり、投資初心者にとってこの中から投資したい商品を選ぶ難易度は高い。一方、つみたてNISAは上記3つの条件など、法令上の条件を満たした193本(2020.12.23時点)に絞り込まれているので、投資初心者でも商品が選びやすいというメリットがある。専用口座を開設する証券会社等によっては、さらに取り扱う投資信託本数が限定されている場合があり、より選びやすくなっている。
  2. 非課税枠が活用できること。通常、投資によって生じた運用収益には税金がかかるが、つみたてNISAを利用すると、年間40万円の投資額を上限に、投資した年から数えて20年間、生じた運用収益が非課税となる。
  3. 少額の資金から始められ、運用コストが低額であること。投資信託購入時手数料が無料であったり、運用期間中にかかる信託報酬も低額である。

などがある。ただし、運用で損が出た場合、NISAは他の運用収益との損益通算ができないなどのデメリットもあるので注意したい。

また、その他の有効な制度として、確定拠出年金(DC)も挙げられる。この制度では原則として60歳まで資金の引き出しができないので、いつでも自由に引き出せるNISAと比較すると、老後資金作りのための制度と言える。DCには企業型と個人型があり、一般的に企業型は「企業型DC」、個人型は「iDeCo(イデコ)」と呼ばれている。この制度の特長を挙げてみると、

  1. 会社が負担する企業型DCの掛金は非課税であり、税金や社会保険料の対象にならないこと。iDeCoでは自分で負担する掛金が小規模企業共済等掛金控除の対象になり節税効果がある。
  2. 運用期間中の収益は企業型DC、iDeCo共に非課税であること。
  3. 受取り時にも税制面での優遇措置があること。年金で受け取る場合には、雑所得として公的年金等控除が利用できる。一方、一時金で受け取る場合には、退職所得として退職所得控除が利用できる。

などがある。ただし、勤務先で企業型DCを実施している場合には、iDeCoを利用できない場合があることなどには注意が必要である。

制度を利用するにあたっては、いつでも自由に引き出して利用することを想定するのであれば「つみたてNISA」、老後のための資金作りに特化するのであれば「企業型DC」や「iDeCo」と、資産作りの目的に応じて使い分けをすると効率的である。 なお、資産作りに際して各制度の活用は有効だが、必ず利益が出ることを約束されたものではないことには注意が必要だ。資産運用は「自己責任」の原則が伴うことも忘れてはならない。

馬場 長利


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。