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2026.10.14
日本経済
金融政策・日銀
物価
合成予想インフレ率の動向(2026Q3)
~一服。予想インフレは利上げを急かさない~
星野 卓也

合成予想インフレ率指標(5年後)は+1.91%に低下
昨日公表の「生活意識に関するアンケート調査」などに基づき、家計・企業・専門家の予想インフレ率を統合した合成予想インフレ率指標の推定を行った(方法は日銀を参考、筆者が一部アレンジ、図表の注釈を参照) 。推定した2026 年 7−9 月期の合成予想インフレ率指標は+1.91%と、前期(2.01%)から上昇率が低下した。筆者試算の合成予想インフレ率は前期に2%を超えたが、それを上抜けて上昇していく状況にはなっていない。
予想インフレ率は日本銀行の説明する「基調的インフレ率」の一角である。日本銀行(2026)は基調的な物価上昇率を把握する手法として、①変動の大きい品目の除去、②中長期の予想物価上昇率を捉える、③経済モデルによる推定、の3種類のアプローチを示している。本稿推定値は②に相当するものだ。
①については、弊著「都区部版・消費者物価のコア指標(2026/9)~全指標が加速~」(2026年10月2日)でその動向をまとめている。ここで試算している指標はいずれも上昇率を高めており、中東情勢由来のコスト上昇の価格転嫁が進展していることを示唆している。3ヶ月前時点では①の上昇が限られる一方で、本稿試算の②の加速が目立つ状況だったが、7−9月期は逆に価格転嫁が進む①が強く、②に一服感が生じる形となった。①・②の双方の加速が見られれば利上げに対する切迫感が増すことになっていたと考えられる。10月の連続利上げも取り沙汰されているが、今回の期待インフレ率一服は日銀に「急がない理由」を与えるだろう。
(参考文献)
日本銀行(2026)「基調的な物価上昇率の概念と捉え方」日銀レビュー 2026-J-6
長田・中澤(2024)「期間構造や予測力からみたインフレ予想指標の有用性」日銀レビュー 2024-J-5
西野・山本・北原・永幡(2016)「『量的・質的金融緩和』の3年間における予想物価上昇率の変化」日銀レビュー 2016-J-17
大柴(2024)「インフレ予想の統計的推定の展開①~合成予想物価上昇率の有用性~」第一生命経済研究所 Economic Trends
星野 卓也
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一ライフ資産運用経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 星野 卓也
ほしの たくや
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経済調査部 主席エコノミスト
担当: 日本経済、財政、社会保障、労働諸制度の分析、予測
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