- 要旨
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- 日経平均株価は先行き12ヶ月72,000円程度で推移するだろう
- USD/JPYは先行き12ヶ月155円程度で推移するだろう
- 日銀は政策金利を26年12月に1.25%とした後、28年央までに2.0%とするだろう。
- FEDはFF金利を、年内は3.75%で据え置くだろう。
- 為替を論じるうえで、日米金利差は使えない尺度に成り下がっている。2025年入り後、日米金利差は、日本の長期金利上昇によって有意に縮小したにもかかわらず、円高方向への動きは限定的である。他方、米金利単独とドル円を比較すると、こちらは相関が保たれている。ここから言えることは、日銀の利上げによる円高圧力は限定的である一方、Fedの利上げ観測を背景とする米長期金利上昇はドル高圧力をもたらす、ということである。
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したがって、米長期金利が急上昇すればドル円が170円に向けて上昇する可能性がある。では、米長期金利は上昇するのであろうか。筆者はその可能性は低いとみており、それゆえにドル円は155円に向けて円高方向に推移するとみている。米金利の安定を予想するのは、米国のインフレが落ち着いていることが大きい。6月CPIは前年比+3.5%と原油高の影響によって押し上げられている一方、食料とエネルギーを除いたコアは同+2.6%に留まっており、大きくみれば鈍化傾向にある。また、その裏にあるインフレ圧力として賃金指標に注目すると、雇用統計で示される平均時給は前年比+3.5%と安定している。その他の賃金指標をみても賃金上昇率が高まっていく気配には乏しい。
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ここで日本側の要因で1ドル170円を超える円安が進む展開を考えてみたい。可能性としては20%以下であるが、頭の片隅に置いておくべきと筆者は考える。端的に言えば、日本の賃金上昇率が高まり、インフレが高進するものの、日銀が静観する、あるいはそうせざるを得ない状況に陥ることで、実質金利が低下し、円売りが進行するというものである。
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まず、足もとの企業の価格設定行動を確認すると、日銀短観6月調査では企業が値上げの準備体操を始めていることが明らかになっている。1年後の販売価格見通しは+3.7%と跳ね上がった。企業が日本全体の物価上昇率を+2.7%と見込んでいることを踏まえると、企業が「平均以上」あるいは「コスト以上」の値上げを計画していると読むことができる。そうした値上げ計画の裏にあるのは、もちろん原油高であるが、既往の人件費増加および来期以降の賃上げを見込んだ価格戦略が透けてみえる。

- ここで毎月勤労統計における一般労働者の所定内給与が3%程度の上昇軌道にあることを思い出したい。この3%という数値は、日銀の物価目標2%に対して整合的・理想的であり、ここからの賃金上昇率加速は物価目標を上振れ方向に脅かすことになり得る。「物価上昇に負けない賃上げを!」といった視点では、3%を超える賃上げ率は望ましいが、物価安定を主眼とした文脈ではそうではない。日本では賃金上昇が長年の悲願だったこともあり、賃金上昇率は高ければ高いほど良いといった風潮すら感じられる。こうした状況を踏まえると、2027年春闘に向けて賃上げ機運が更に強まる可能性があるだろう。労働分配率が低下基調にあるなど、企業の賃上げ余力が存在するとみられることもあって、過年度分の実質賃金マイナスを取り戻す、原油高の負担を和らげるなどといった文脈から賃金上昇率が加速する展開も想定される。
- では、仮に賃金上昇率が3%台後半や4%に高まったら何が起こるであろうか。それは取りも直さずインフレの加速である。ここで難しいのは、賃金上昇率の過度な高まりに対して政府・日銀がどういった政策態度で接するかである。政府はもちろん賃金上昇率の高まりを「手柄」として喧伝するであろう。賃金上昇率がインフレの「素」であることには触れず、賃上げ率の高まりを是とする態度を貫くと推測される。一方で日銀は難しい立場に置かれる。賃金上昇率の高まりを受けてインフレに対する警戒感を強めるべき局面であるが、賃上げに水を差すような積極的な利上げは、政治との距離感を踏まえると困難が伴う。賃金・物価上昇率が高まるなかで、日銀が利上げに動かないようであれば、実質金利は低下し、それによって円安が進む可能性が高まる。日銀が果敢にインフレと闘う姿勢で臨めば、円高方向に圧力がかかりそうだが、そうした姿は想像しにくい。賃金上昇率がここから一段と高まる可能性は現時点で高くはないと判断しているが、2027年春闘に向けて賃上げ機運が強まっていくかは注視したい。
藤代 宏一
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