- 要旨
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- 日経平均株価は先行き12ヶ月72,000円程度で推移するだろう
- USD/JPYは先行き12ヶ月155円程度で推移するだろう
- 日銀は政策金利を26年12月に1.25%とした後、28年央までに2.0%とするだろう。
- FEDはFF金利を、年内は3.75%で据え置くだろう。
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7月1日の米国株市場では、ハイパースケーラーの一角(M社)がAIの計算資源とモデルを販売するクラウドインフラ事業の計画を進めていると伝わったことが大きく取り扱われた。報道を受けて、金融市場では「M社は余剰計算資源を抱えているのではないか」との連想から、今後、設備投資が鈍化するのではないかとの懸念が惹起され、半導体製造装置を中心にAI半導体株が大幅に下落した。他方、M社を含むハイパースケーラーはクラウドインフラ事業の収益性に対する期待に加え、今後の設備投資負担が軽減するとの安心感から上昇した。
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直近半年から1年程度のAI相場では、いわゆるつるはし銘柄が中心的な物色対象であった。金の採掘(AIの開発)業者ではなく、彼らにつるはし(AI向け半導体・半導体製造装置)を売る業者が真の勝者になる、という文脈である。ハイパースケーラー各社が自社株買いを休止してまでも、フリー・キャッシュフローの多くを設備投資に費やし、半導体製造装置やAI向け半導体を買い漁る構図があったことから、米国株式市場ではハイパースケーラーが敬遠される一方、半導体製造装置やメモリ株が急騰してきた。7月1日はそれまでの流れが逆方向に動いた形だ。報道が事実であれば、M社の決定は自社の株価対策としての意味合いもあろう。
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これは日本株にどういった影響を与えるだろうか。まず前提として日経平均株価を構成する225社には、もちろんハイパースケーラーは含まれない。この間の株価指数をけん引したのは、もっぱらつるはし銘柄であると言っても過言ではなく、日本株はその恩恵をきわめて強く受けてきた。言わずもがな、日経平均株価の最重要要素はAI関連の設備投資動向であるから、今回のように余剰計算資源の存在、設備投資抑制を意識させる材料には敏感にならざるを得ない。AIの開発競争が進むという大きなストーリー自体が揺らぐわけではないが、一方でハイパースケーラーは自らの株価を犠牲にしてまでもAI投資を断行する戦略は採らなそうである、ということは認識しておきたい。
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AI投資を巡っては、これまでの株価上昇が著しかった面もあり潮目が変わりつつあるが、最近になってマクロ面では日米双方とも良い材料が相次いでいる。日本では7月1日に発表された日銀短観6月調査は大企業の景況感が上向いた。米国では6月ISM製造業景況指数は53.3と好不況の目安とされる50を有意に上回った。ヘッドラインを構成する5つの項目は、生産(54.3→52.2)と新規受注(56.8→56.0)が軟化した半面、雇用(48.6→49.7)が改善。サプライヤー納期(60.6→57.4)は短縮化した。在庫(49.9→51.4)は増加方向に寄与した。その他では原油価格の安定を反映して仕入価格(82.1→73.0)が低下。ハイパースケーラーによるデータセンターの巨額投資が製造業全体の需要を誘発するなか、インフレ安定化の兆候が確認できた。
- この間、雇用動向も上向きつつある。サッカー・ワールドカップの特需によって宿泊・飲食が押し上げられている可能性に留意する必要があるものの、5月のJOLTS求人件数は759万件となり、3ヶ月平均値は736万件へと前月から3.1%増加した。同時に失業者数は減少したことから、失業者数に対する求人件数の割合は1.04倍へと小幅ながら上昇し、2月の0.91倍から明確に持ち直した。こうした労働市場の底入れは、短期的にはFedの利上げ観測を高める作用があることから、株式市場ではGood news is bad newsに捉えられがちであるが、企業業績の持続的拡大には労働市場の安定が必須要素であり、中長期的には歓迎すべき事象である。
- インフレの二次的波及を察知するうえで注目される自発的離職率が低位で安定していることも重要。平均時給に対して一定の先行性を有する自発的離職率は1.9%台で安定し、そうしたもとでアトランタ連銀が算出する賃金トラッカーによれば、転職者の賃金上昇率は鈍化傾向にある。ここから判断すると、物価高を起点に賃金上昇率が加速し、インフレが加速していく気配は現時点で乏しい。賃金インフレ加速なき雇用拡大が実現しつつあるようにみえる。

藤代 宏一
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