米国: 製造業が拡大サイクル入り (26年2月鉱工業生産)

~鉱工業生産の拡大ペースは加速~

桂畑 誠治

要旨
  • 市場予想を小幅上回り、底堅い生産活動 26年2月の鉱工業生産は、前月比+0.2%(前月:同+0.7%)となった。拡大ペースは前月から鈍化したものの、市場予想中央値同+0.1%(筆者予想:同+0.2%)を上回り、26年入り後の生産活動の活発化を裏付ける結果となった。 内訳をみると、鉱業はエネルギー価格の安定・上昇を背景に、前月比+0.8%(前月:同+0.9%)と高い伸びを維持した。一方、公益が暖冬による暖房需要の減少が主因となり、同▲0.6%(前月:同+0.1%)とマイナスに転じた。また、製造業は、同+0.2%(前月:同+0.8%)と拡大ペースが鈍化したものの、市場予想中央値の同+0.1%(筆者予想:同+0.3%)を上回った。
  • 製造業部門はAI需要と自動車が下支えするも二極化 製造業全20業種のうち、2月に拡大したのは11業種と、1月の16業種から減少した。拡大の持続性において業種間の明暗が分かれた。プラス成長を維持した業種では、自動車・同部品は、トランプ政権による関税政策などへの不透明感は残るものの、低在庫水準に加え、EVからハイブリッドへのラインナップ刷新などによって、生産がプラスを維持した。また、強いAI需要を背景に、コンピューター・電子、一般機械、電気設備・機器・同部品等が伸長。さらに、非鉄、化学、プラスチックなど素材関連も総じて拡大した。 製造業の業種別生産動向を前月比でみると、拡大した業種は、自動車・同部品(+1.7%)、その他製造業(+1.3%)、電気設備・機器・同部品(+1.1%)、木材製品(+1.0%)、化学(+0.9%)が高い伸びとなった。次いで、紙・パルプ(+0.5%)、プラスチック・ゴム(+0.5%)、コンピューター・電子(+0.4%)、印刷・同サポート(+0.4%)、航空宇宙・その他輸送機器(+0.3%)、非鉄(+0.1%)の計11業種(前月16業種)が拡大した。なお、一次金属は0.0%と横這いとなった。 一方、縮小した業種は、繊維(▲1.7%)、石油・石炭製品(▲1.6%)、一般機械(▲1.2%)、その他耐久財(▲1.1%)、家具・同関連製品(▲0.7%)の落ち込みが目立ったほか、加工金属(▲0.3%)、アパレル・皮革(▲0.1%)、食品・飲料・タバコ(▲0.1%)の計8業種(前月2業種)に増加した。
  • 生産基調の回復トレンドの加速、設備稼働率の下げ渋り 生産の基調を3ヵ月移動平均・3ヵ月前対比年率で確認すると、2月の鉱工業全体では、公益の大幅な増加や製造業の改善等によって、同+3.2%(前月+1.2%)とプラス幅を拡大した。製造業生産は+1.1%(同▲0.5%)と増加に転じた。自動車が、EV向けの支援策の終了を受け、同▲0.4%(同▲16.3%)と依然マイナス圏ながら大幅に改善したほか、ハイテク関連が+14.7%(同+12.5%)と増勢を強め、全体の押し上げに寄与した。
  • 2026年通期の加速予想 前年比でみると、拡大した業種は、一次金属、加工金属、一般機械、コンピューター・電子、電気設備・機器・同部品、航空宇宙・その他輸送機器、食品・飲料・タバコ、石油・石炭製品、化学、プラスチック・ゴムの10業種(前月11業種)にとどまり、製造業全体で+1.3%(前月+2.4%)と鈍化した。  しかし、26年の製造業生産は、減税に伴う個人消費の喚起や設備投資の拡大のほか、旺盛なAI需要、製造業の国内回帰、世界的な地政学リスクの高まりを受けた軍事装備品の需要増加、低い在庫水準等を背景に、前年比+1.7%に加速すると予想される(25年+0.9%、24年▲1.0%、23年▲0.9%)。
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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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