株高不況 株高不況

半導体のうねりと日本株(25 年11 月鉱工業生産)

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均株価は先行き12ヶ月54,000円程度で推移するだろう

  • USD/JPYは先行き12ヶ月160円程度で推移するだろう

  • 日銀は利上げを続け、2026年後半に政策金利は1.0%に到達しよう

  • FEDはFF金利を26年3月と6月に引き下げ3.25%とした後、様子見に転じるだろう。

目次

金融市場

  • 前営業日の米国市場は、S&P500が+0.6%、NASDAQが+0.6%で引け。VIXは14.8へと低下。

  • 米金利はカーブ全般で金利上昇。予想インフレ率(10年BEI)は2.276%(+0.7bp)へと上昇。
    実質金利は1.877%(+0.8bp)へと上昇。長短金利差(2年10年)は+70.8bpへとプラス幅拡大。

  • 為替(G10通貨)はUSDが堅調。USD/JPYは156後半で推移。コモディティはWTI原油が57.1㌦(▲1.2㌦)へ低下。銅は13238.0㌦(+246.5㌦)へ上昇。金は4496.1㌦(+44.6㌦)へ上昇。

経済指標・注目点

  • 筆者が日本経済と株式市場の行方を読む上で定点観測している日本の鉱工業生産は2025年11月に前月比▲2.6%と大幅な減産となった(2025年12月26日公表)。ノート型PCやリチウムイオン電池の大幅減産により電気・情報通信機械工業が同▲10.1%(寄与度▲0.89%pt)と落ち込んだほか、自動車工業が同▲6.6%(寄与度▲0.87%pt)の減産となった。他方、半導体製造装置の増産を主因に生産用機械工業が同+5.1%(寄与度+0.43%pt)、電子部品・デバイス工業は同+0.5%(寄与度+0.03%pt)と増産となった。

  • 12月初旬に実施された生産予測調査に基づけば、製造工業の生産計画は12月が前月比+1.3%、1月が同+8.0%と大幅な増産が見込まれている。経産省経済解析室が生産予測指数の上振れバイアスを補正した予測値でみると、12月の生産は同▲0.6%と微減となる見込みだが、それでも1月の強気見通しを踏まえると、3カ月平均値は緩やかに持ち直していく公算が大きい。生産活動全体の方向感を決める輸送用機械工業は12月に同+1.5%となった後、1月は同+21.9%と著しい増産計画になっている。

  • 株式市場における重要度が高い半導体関連については、上述のとおり電子部品・デバイス工業が前月比+0.5%の増産となった。これまで大幅な変動を主導してきた集積回路(IC)は5月に同▲30.4%となった後、9月まで反発を続けて穴埋めを完了したが、直近2ヶ月はやや落ち込んでいる。この間、生産用機械に分類される半導体製造装置は復調の気配が強まっており、11月の生産は同+21.8%と急増し、3ヶ月平均値でも+12.1%と鋭角に上昇している。

  • 電子部品・デバイス工業の動向を仔細にみると、11月は出荷が前年比▲0.3%とマイナス圏に転落し、在庫は同+1.8%とプラス圏に回帰したため、出荷・在庫バランス(両者の前年比差分から算出)は▲2.1ptへと低下した。もっとも、3ヶ月平均では+2.4ptとプラス圏を維持し、製品需給が安定していることが示唆されている。

  • ここで長期的に電子部品・デバイス工業の出荷・在庫バランスと、日経平均株価が連動性を有してきたことを再確認したい。株価指数において半導体を直接手掛ける企業の存在感は必ずしも大きくはないが、半導体製造装置、電子部品、化学品など「広義半導体」で見ればその存在感は大きく、結果的に日本株全体のうねりを作り出す構図があると筆者は理解している。

  • 先行きの出荷・在庫バランスを見極めるために在庫循環図の位置取りを確認すると、直近12ヶ月は、右下領域(在庫減・出荷増)から左下領域(在庫減・出荷減)へと逆走した後、中心点付近で渦を描いている。もっとも過去の経験則に従えば、今後は東方に進路をとった後、徐々に右上領域(在庫増・出荷増)に向けて北上すると予想される。

  • その点、米国のIT関連投資が重要な鍵を握る。米国内のAI関連投資を推し量るために、GDP統計上のIT関連投資額(情報処理機械およびソフトウェア)に目を向けると、直近3四半期は名目値で15%弱の成長軌道にあり、加速感が増している。メガテック企業のデータセンターを中心に投資が盛り上がっており、GDPに占めるIT関連投資の割合は2025年7-9月期時点で4.5%程度へと上昇し、2000年代初頭のITバブル期に匹敵している。この数値がAIの過剰投資懸念を惹起しているのは事実であるが、ここには、いわゆる「IT化」という長期トレンドが走っていることに留意する必要がある。GDPに占めるIT関連投資比率が趨勢的に高まっていることを踏まえずに、2000年代初頭の数値と単純比較すると、構造変化を見落してしまう恐れがある。この数値を以って、過剰投資と断定することはできない。

藤代 宏一


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