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2025.09.03
米国経済
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米国トランプ関税上乗せも8月ISM製造業指数は上昇
~生産が縮小したものの、新規受注が拡大し需要の回復を示す~
桂畑 誠治
- 要旨
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- 25年8月のISM製造業景気指数(季節調整値)は、48.7(前月48.0)と市場予想中央値の49.0を下回り、拡大縮小の分岐点である50を6ヵ月連続で下回った。ただし、前月比で0.7%ポイント上昇しており、米製造業部門の縮小ペースの鈍化が示された。主要な貿易相手国と通商協議で進展したため対抗措置がほとんど行われることなく相互関税の上乗せが実行され不確実性が緩和したほか、国内需要が底堅く推移していることから、新規受注主導で景気指数は上昇した。 8月1日に、分野別関税で銅関税が発動された。対象は、銅管、銅線などの半製品や銅を多く含む派生品(銅の原材料となる銅鉱石や銅スクラップなどは対象外)。さらに、8月7日に、相互関税が国ごとに異なる税率で引き上げられた。このような中、生産が縮小に転じたものの、新規受注が拡大に転じ、入荷遅延も上昇した。また、在庫、雇用が減少ペースを鈍化したことで、景気指数は押し上げられた。仕入価格指数は低下したが、依然高い水準にとどまっており、コスト増が示された。
- 8月のISM製造業景気指数の構成項目別の動向をみると、前月比で、生産が低下した一方、新規受注、入荷遅延、在庫、雇用が上昇した。また、水準では、新規受注、入荷遅延が50を上回ったが、生産、雇用、在庫が50を下回り、全体で縮小が示された。
- 生産は、47.8(前月51.4)と縮小に転じたことが示された。拡大した業種数が6業種(同7業種)、縮小した業種が6業種、生産水準に変化がなかった業種数が6業種とまちまちの状況となった。新規受注が増加に転じたものの、受注残が減少を示す水準で低下しており、生産は依然脆弱な状況といえよう。
- 一方、新規受注は、51.4(同47.1)と上昇し、7カ月ぶりに50を上回り、需要が拡大に転じたことが示された。拡大した業種数は18業種中8業種(同4業種)と増加し、縮小は6業種(同8業種)に減少した。拡大した業種は、アパレル・皮革製品、繊維、一次金属、食品・飲料・タバコ製品、コンピュータ・電子機器、非鉄、電気機器・電化製品・電気部品、その他製造業の8業種。縮小は、紙製品、木材製品、プラスチック・ゴム製品、加工金属、輸送機器、一般機械の6業種となった。入荷遅延は、51.3(同49.3)と上昇し、配送の遅れを示す水準となった。需要の持ち直しや関税引き上げによる納品の遅れが影響したと考えられる。 また、雇用は、43.8(同43.4)と上昇したが、50を大幅に下回ったままである。事業環境の不透明感の強まりを背景に、レイオフ、自然減、採用凍結を中心とした人員削減が継続されている。雇用の増加した業種数は18業種中2業種(同3業種)と限られた。さらに、在庫は、49.4(前月48.9)と上昇したが、50を下回っており、在庫の縮小ペース鈍化が示された。
- インフレの動向を示す仕入価格指数は、63.7(同64.8)と低下したが、高い水準にとどまっており、コストの高止まりを示した。商品別では、トウモロコシ、天然ガス、大豆ミールが下落した一方、アルミニウム、電気部品、鉄鋼、ステンレス鉄鋼、鉄鋼製品、電子部品、銅・同製品等の価格が上昇した。供給不足品では、電子部品、電気部品が挙げられた。
- 8月に拡大した業種は、全18業種のうち繊維、アパレル・皮革製品、非鉄、食品・飲料・タバコ、石油・石炭製品、その他製造業、一次金属の7業種(前月7業種)と変わらず(下線は拡大・縮小が2カ月以上続いたことを示す)。一方、縮小した業種は、紙製品、木材製品、プラスチック・ゴム製品、輸送機器、家具・同関連、一般機械、電気機器・電化製品・電気部品、コンピューター・電子機器、化学製品、加工金属の10業種(前月10業種)と変わらず。
- 今後の製造業部門の活動は、対中貿易協議の継続(関税引き下げ期限は11月10日)のほか、分野別関税で半導体、医薬品、木材・家具等への関税賦課が予想され、不確実性が残存するものの、主要な貿易相手国と通商協議で進展したため、対抗措置がほとんど行われずに相互関税の上乗せが実行されたこと、国内需要が底堅く推移していることもあり、製造業景気指数は25年4Qに拡大を示す水準を回復すると予想される。
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本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 桂畑 誠治
かつらはた せいじ
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経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済
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