トランプ関税懸念の続く中、7月米小売は販促等で拡大  

 ~小売売上の基調は堅調さを維持~

桂畑 誠治

要旨
  • 25年7月の小売・飲食サービス売上高は、前月比+0.5%(前月同+0.9%)と減速し、市場予想中央値(ブルームバーグ集計)の同+0.6%(筆者予想同+0.5%)を小幅下回ったものの、5、6月合計で0.4%上方修正されたことを考慮すれば、市場想定よりも堅調な内容といえよう。業態別では、建設資材、その他小売や、悪天候で飲食店が減少に転じた他、家電が減少幅を拡大した。また、食品・飲料、薬局、衣料品、一般小売、無店舗小売が鈍化した。一方、スポーツ用品・本・趣味用品が増加に転じたうえ、販売価格の抑制された自動車・同部品や、家具、ガソリンスタンドが加速した。前年比で小売・飲食サービス売上高は+4.4%(前月同+3.9%)と鈍化したが、依然高い伸びを保っている。
  • 7月の小売売上は、前月の高い伸びの反動や悪天候にもかかわらず、実質所得の増加、企業の販促の強化等を背景に堅調さを維持した。
  • 主要13業態のうち、縮小した業態が4業態(前月2業態)に増加し、拡大した業態が9業態(前月11業態)に減少した。7月小売・飲食サービス売上高(前月比+0.51%、前月同+0.90%)の主要13業態の前月比寄与度をみると、押し上げ寄与の業態は、大きい順に、販売価格が抑制された自動車・同部品(+0.30%、同+0.26%)、大規模セールが実施された無店舗小売(+0.14%、同+0.16%)、食品・飲料(+0.06%、同+0.10%)、需要の拡大したガソリンスタンド(+0.05%、同+0.04%)等。
  • 小売売上の他の分類では、自動車を除く小売・飲食サービス売上高が、前月比+0.3%(前月同+0.8%)と市場予想中央値(筆者予想同+0.3%)と一致したうえ、5、6月分が合計で0.4%上方修正された。また、自動車・ガソリンを除く小売・飲食サービス売上高は、同+0.2%(前月同+0.8%)と市場予想中央値同+0.3%(筆者予想同+0.4%)を下回ったが、5、6月合計0.2%上方修正されており、概ね市場想定通りの結果。
  • GDPの算出に使用されるコントロール・グループ(自動車・ガソリン・建材・飲食店を除く小売・飲食サービス売上高)は、前月比+0.5%(前月同+0.8%)と減速したが、市場予想中央値の同+0.4%(筆者予想同+0.5%)を上回り、5、6月分も合計0.4%上方修正された。
  • さらに、小売売上高の基調を判断するうえで重要なコア小売売上高(自動車・ガソリン・建材を除く小売・飲食サービス売上高)は、同+0.3%(同+0.7%)と減速したが、5、6月分が合計0.2%上方修正され、3ヵ月移動平均・3ヵ月前対比年率+4.7%(前月+5.1%)と高い伸びを維持しており、小売売上の基調は堅調さを維持している。四半期では、7月は前期比年率+3.6%と4-6月期同+5.1%(速報+4.6%)から緩やかに減速している。以上より、個人消費は、堅調な労働市場や、実質給与所得の増加等を背景に、底堅さを維持していると判断される。
  • 7-9月期の実質個人消費は、トランプ関税による大幅な価格上昇懸念、実質給与所得の増加傾向、企業の販促等によって支えられるものの、価格上昇や節約志向の強まりによる抑制要因によって、前期比年率+1.2%(4-6月期同+1.4%)と小幅鈍化すると予想される。
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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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