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2025.08.13
米国経済
金利
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その他指標(米国)
トランプ関税の影響は限定的もコアCPI上振れ(7月CPI)
~コアCPIは前年比+3.1%(6月+2.9%)の上昇~
桂畑 誠治
- 要旨
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- 25年7月の消費者物価(総合CPI)は、前月比+0.2%(前月同+0.3%)と低下し、市場予想中央値(筆者予想同+0.2%)と一致した。エネルギー・食品を除く消費者物価(コアCPI)が同+0.3%(同+0.2%)と市場予想中央値(筆者予想同+0.3%)と一致したものの、上昇した。一方、食品は、ミルク、珈琲等が上昇したが、穀物・ベーカリー製品、卵、ジュースの下落、野菜・果物、外食等の低下によって、同0.0%(同+0.3%)となった。また、エネルギーがガソリン、電気、ガス等の下落を背景に同▲1.1%(同+0.9%)とマイナスに転じた。
- トランプ関税は、2月に中国からの輸入品に対して10%賦課され、3月に中国からの輸入製品に対して10%上乗せされたほか、カナダ、メキシコからの輸入製品の一部に25%の関税が課された。4月に25%の自動車関税、10%の相互関税が発動されたうえ、中国からの輸入製品に対して125%の関税が上乗せされた(トランプ2.0での対中関税賦課は計145%)。5月に25%の自動車部品関税が発動された。5月12日に米中がそれぞれ115%の関税引き下げ(14日に引き下げ)や、米国が90日間相互関税の上乗せを行わないことで合意したため、貿易の停止や異常な価格高騰は一旦回避できたが、中国からの輸入製品に対する30%の関税は課されたままとなったことで、財価格の押し上げ要因となっている。その後、相互関税の上乗せ停止期限が7月9日から8月1日(最終的には8月7日)に延期されたことで、物価への影響が後ずれした。
- このような関税政策のもと、物価上昇率は、6月にカーテン、カーペット、タオル等のリネン類、時計、家電、玩具、スポーツ用品等で高まり、7月に、家具、タイヤ、ペット用品、工具・金物・屋外用機器と備品等で高まった。一方、企業の価格転嫁の抑制、駆け込み輸入による在庫増加、駆け込み需要の剥落による値下げ、貿易相手国の輸出価格の引き下げ等の影響で、6、7月の財コアは低い伸びにとどまった。しかし、在庫の減少、8月7日の相互関税引き上げの影響によって、財コア価格の押し上げ圧力が今後強まっていくと予想される。
- コアCPIでは、財コアが前月比+0.21%(前月同+0.20%)と抑制されたが、サービスコアが+0.4%(同+0.3%)と上昇した。財コアでは、中古車、教材が上昇に転じたうえ、自動車部品が上昇した。また、新車は下落に歯止めがかかり横ばいとなった。さらに、家庭用耐久品・消耗品、医療用品、アルコール飲料は、同率の伸びを維持した。商品別では、家具、タイヤ、ペット用品、工具・金物・屋外用機器と備品等の上昇ペースが加速した。サービスコアでは、航空運賃が上昇に転じたうえ、賃貸料、専門医療、自動車メンテナンス・修理、余暇サービスが上昇した。さらに、帰属家賃、病院・関連サービス、上下水道・ゴミ収集サービス、自動車保険は同率の上昇率となった。
- 前年同月比では、総合が+2.7%(前月+2.7%)と市場予想中央値+2.8%(筆者予想同+2.8%)を下回った。コアCPIは+3.1%(同+2.9%)と上昇し、市場予想中央値同+3.0%(筆者予想同+3.0%)を上回ったものの、食品が、食材の鈍化によって+2.9%(同+3.0%)と低下したほか、エネルギーが▲1.6%(同▲0.8%)と下落幅を拡大した。 コアCPIでは、サービスコアが+3.64%(同+3.62%)と小幅上昇したもとで、財コアが+1.2%(同+0.7%)と上昇率を高め、全体を押し上げた。 サービスコアでは、航空運賃が上昇に転じたほか、病院・関連サービス、専門医療サービス、医療保険、余暇サービス、教育関連サービス、その他個人向けサービスが上昇した。サービスコアは、低下傾向を辿ってきたものの、賃金上昇の影響を受け易い部門や、住宅関連の高い伸びを背景に、前年比+3.6%と高い上昇率にとどまっている。財コアでは、家庭用耐久品・消耗品、新車、中古車、自動車部品が上昇し、衣服、娯楽用品が下落幅を縮小した。また、アルコール飲料、その他財は同率の伸びとなった。
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本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 桂畑 誠治
かつらはた せいじ
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経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済
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