米国 トランプ関税、悪天候で5月小売売上は減少

~小売売上の基調は堅調さを維持~

桂畑 誠治

要旨
  • 25年5月の小売・飲食サービス売上高は、前月比▲0.9%(前月同▲0.1%)と減少幅を拡大し、市場予想中央値(ブルームバーグ集計)の同▲0.6%(筆者予想同▲0.5%)を下回った(3、4月合計0.4%下方修正)。業態別では、衣料品、スポーツ用品・本・趣味用品、一般小売、その他小売が増加に転じ、家具、無店舗小売が加速した。また、薬局が減少幅を縮小した。一方、家電、建設資材、食品・飲料、飲食店が減少に転じたほか、自動車・同部品、ガソリンスタンドが減少幅を拡大した。なお、小売・飲食サービス売上高は、前年比で+3.3%(前月同+5.0%:改定前同+5.2%)と減速も、高い伸びとなった。
  • 5月の小売売上は、トランプ関税による価格上昇前の駆け込みの反動や悪天候で減少幅を拡大した。ただし、変動の大きい項目を除いたコア小売が拡大を続けており、個人消費は堅調な労働市場や、実質給与所得の増加等を背景に、底堅さを維持していると判断される。
  • 主要13業態のうち、拡大した業態は6業態(前月5業態)に増加したが、縮小した業態は7業態(前月6業態)に増加した。拡大した業態は、家具、衣料品、スポーツ用品・本・趣味用品、一般小売、その他小売、無店舗小売。一方、縮小した業態は、自動車・同部品、家電、建設資材、食品・飲料、薬局、ガソリンスタンド、飲食店。
  • 他の分類では、自動車を除く小売・飲食サービス売上高が前月比▲0.3%(前月同0.0%)と市場予想中央値同+0.2%(筆者予想同+0.3%)に反して減少した(3、4月合計0.3%下方修正)。また、自動車・ガソリンを除く小売・飲食サービス売上高は同▲0.1%(前月同+0.1%)と市場予想中央値同+0.3%(筆者予想同+0.2%)に反して減少した。
  • 一方、GDPの算出に使用されるコントロール・グループ(自動車・ガソリン・建材・飲食店を除く小売・飲食サービス売上高)は、前月比+0.4%(前月同▲0.1%)と増加に転じ、市場予想中央値の同+0.3%(筆者予想同+0.2%)を上回った(3、4月合計0.1%上方修正)。また、小売売上高の基調を判断するうえで重要なコア小売売上高(自動車・ガソリン・建材を除く小売・飲食サービス売上高)は、同+0.1%(同+0.1%)と同率の伸びとなり、拡大を続け、3ヵ月移動平均・3ヵ月前対比年率で+5.3%(前月+5.2%、改定前+5.3%)と上昇し、拡大モメンタムを強めた。四半期でも、4、5月平均が前期比年率+3.9%と1-3月期の同+3.7%から加速するなど、小売売上の基調は堅調さを維持している。
  • 4-6月期の実質個人消費は、価格上昇や節約志向の強まりによって抑制されるものの、トランプ関税引き上げ前の駆け込み効果の残存(下駄効果)、実質給与所得の増加、企業の販促等によって支えられ、前期比年率+2%程度(1-3月期同+1.2%)に加速すると予想される。
こちらのレポートについては、PDF形式によるご提供となっております。
右上にある「PDF閲覧のアイコン」をクリックしてご覧下さい。

本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

執筆者の最近のレポート

関連テーマのレポート

関連テーマ