株高不況 株高不況

工作機械受注が教えてくれる景況感(2023.3) 半導体は見極めの時間

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均は先行き12ヶ月28,000程度で推移するだろう。
  • USD/JPYは先行き12ヶ月130程度で推移するだろう。
  • 日銀は現在のYCCを年内に修正するだろう(暫定)。
  • FEDはFF金利を5.00%(誘導幅上限)まで引き上げるだろう。
目次

金融市場

  • 前日の米国株はまちまち。NYダウは▲0.9%、S&P500は▲0.7%、NASDAQは+0.1%で引け。VIXは26.1へと上昇。
  • 米金利はブル・スティープ化。債券市場の予想インフレ率(10年BEI)は2.277%(▲2.3bp)へと低下。実質金利は1.173%(▲21.4bp)へと低下。
  • 為替(G10通貨)はJPYが最強。USD/JPYは133前半へと下落。コモディティはWTI原油が67.6㌦(▲3.7㌦)へと低下。銅は8504.5㌦(▲329.0㌦)へと低下。金は1931.3㌦(+20.4㌦)へと上昇。

図表1
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図表2
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図表3
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図表4
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図表5
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経済指標

  • 3月NY連銀製造業景況指数は▲24.6と市場予想(▲7.9)を大幅に下回った。ヘッドライン構成項目のウェイトを調整してISM換算した数値は44.5となり今次局面の最低を更新。3月ISM製造業の下振れリスクを喚起した。

  • 2月米小売売上高は前月比▲0.4%と市場予想に一致。ガソリンと自動車を除いたベースは±0.0%、GDP個人消費の推計に用いられるコア小売売上高は+0.5%と堅調であった。エネルギー価格の上昇一服が消費を下支えする構図にある。

  • 3月NAHB住宅市場指数は44へと2pt改善。木材価格下落、住宅ローン金利の上昇一服等を背景に3ヶ月連続の上昇。この指標が住宅市場(着工、販売)に対して一定の先行性を有していることに鑑みれば、住宅市場の底打ちが期待される。

図表6
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図表7
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図表8
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図表9
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注目点

  • 3月9日に発表された工作機械受注統計(日本工作機械工業会)によると2月の受注額(原数値)は1240億円であった。前年比伸び率(原数値)は▲10.7%とマイナス圏推移。筆者作成の季節調整値は前月比▲6.1%、1266億円と減少。内訳は国内向けが季節調整済み前月比▲18.9%と急減、原数値前年比▲20.3%と6ヶ月連続のマイナス圏推移。「外需」は前月比+1.7%、前年比▲5.5%と2ヶ月連続のマイナスであった。

図表10
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図表11
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図表12
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  • 日本の工作機械受注は、そのサイクルがグローバル製造業PMIやアナリストの業績予想(TOPIX予想EPS)と連動性を有する。2月グローバル製造業PMIは50.0へと改善したが、この間、日本企業の業績予想(TOPIX予想EPS)は伸び率が鈍化している。日本企業の業績予想は欧米対比で底堅さを維持しているとはいえ、ここへ来て海外経済の減速に対する懸念が高まっており、工作機械受注はこうした風向きの悪さと一致しているようにみえる。

図表13
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図表14
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図表15
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  • 受注サイクルの位置取りを確認するために縦軸に工作機械受注の水準(36ヶ月平均からの乖離)、横軸に方向感(6ヶ月前比)をとった循環図をみると、直近は左上局面(高水準・伸び率マイナス)に位置している。これは受注が比較的高水準を維持するものの、その勢いが明確に失われていることを意味しており、過去の経験則に従うなら今後の受注は高水準から減少を続け、左下方向(低水準・伸び率マイナス)へ進む軌道を描くと予想される。今後、株式市場では業績に対する懸念が強まり、それは循環図上の「左下」に移行する局面で頂点に達する。もっとも、その前後で一部の先見的な投資家は受注反転を見越して動き始める。逆張り的な視点で見れば、大底への到達を見極める段階に入っていると言える。

図表16
図表16

  • 「大底への到達を見極める」あるいは「業績反転を先取りする」という視点では、半導体製造装置の受注動向も重要。本日発表された1月の機械受注統計(内閣府)では半導体製造装置の受注動向を示す「電子計算機等」の受注額が前月比▲21.7%、前年比▲33.9%と弱さが示された。現在の株価はやや楽観的に見えるが、過去のシリコンサイクル及び現在のIT関連財の在庫循環等から判断すると、2023年中にサイクルが好転する可能性は相応に高まっており、事後的に楽観が正当化される展開が想起される。

図表17
図表17

藤代 宏一


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