株高不況 株高不況

工作機械受注が教えてくれる景況感 「底」を見極める局面

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均は先行き12ヶ月28,000程度で推移するだろう。
  • USD/JPYは先行き12ヶ月137程度で推移するだろう。
  • 日銀は現在のYCCを2023年4月までは維持するだろう。
  • FEDは23年3月までにFF金利(誘導目標上限値)を5.0%へと引き上げるだろう。
目次

金融市場

  • 前日の米国市場は休場。
  • 為替(G10)はJPYが最弱。USD/JPYは128後半へと下落。

注目点

  • 16日に発表された工作機械受注統計(日本工作機械工業会)によると12月の受注額(原数値)は1406億円であった。筆者作成の季節調整値は前月比+0.0%、1346億円と4ヶ月連続ぶりに増加。前年比伸び率(原数値)は比較対象となる2021年12月の数値が弱かったことから+1.0%と3ヶ月ぶりにプラス圏に転じたが、基調的な回復にはみえない。内訳は国内向けが季節調整済み前月比で▲17.1%と減少、原数値前年比は▲17.3%と4ヶ月連続のマイナス圏推移。「外需」は季節調整済み前月比で+10.0%、原数値前年比は+11.6%と回復に転じた。全体の受注額は大きく見れば高水準を維持しているものの、伸び率で評価するとその景況感は冴えない。

図表1
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図表2
図表2

図表3
図表3

  • 日本の工作機械受注は、そのサイクルが世界経済の包括的指標であるOECD景気先行指数やアナリストの業績予想(TOPIX予想EPS)と連動性を有する。OECD景気先行指数は日本における内需回復が支えとなるも、高インフレの混乱に見舞われている米国と欧州の激しい落ち込みに先導され、低下基調にある。先行きは中国経済の回復が下支えとなりそうだが、目下の感染状況に鑑みると早期の回復は期待できない。そうした下で、直近はグローバル製造業PMIが48.6と4ヶ月連続で50を割り込んでいる。また短期的な生産見通しを読む上で有用な新規受注・在庫バランスが悪化基調にあることを踏まえると、世界経済の早期反転は期待しにくい。そうした下で日本企業の業績予想(TOPIX予想EPS)も伸び率が鈍化してきた。日本企業の業績予想は欧米対比で底堅さを維持しているとはいえ、ここへ来て海外景気の減速に対する懸念が高まっている。工作機械受注はこうした風向きの悪さと一致しているようにみえる。

図表4
図表4

図表5
図表5

図表6
図表6

図表7
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図表8
図表8

  • 受注サイクルの位置取りを確認するために縦軸に工作機械受注の水準(36ヶ月平均からの乖離)、横軸に方向感(6ヶ月前比)をとった循環図をみると、直近は左上局面(高水準・伸び率マイナス)に位置している。これは受注が高水準を維持するものの、その勢いが明確に失われていることを意味しており、過去の経験則に従うなら今後の受注は高水準から減少を続け、左下方向(低水準・伸び率マイナス)へ旋回する軌道を描くと予想される。今後、株式市場における業績下振れ警戒感は一段と強まると予想され、それは循環図上の「左下」に移行する局面で最も強くなると考えられる。もっとも、その前後で一部の先見的な投資家は受注サイクル底打ちを先取りして動き始めるのが過去のパターン。逆張り的な視点で見れば、大底への到達を見極める段階に入っていると言える。

図表9
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藤代 宏一


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