- 要旨
-
- 日経平均は先行き12ヶ月28,000程度で推移するだろう。
- USD/JPYは先行き12ヶ月137程度で推移するだろう。
- 日銀は現在のYCCを少なくとも2023年4月までは維持するだろう。
- FEDは23年3月までにFF金利(誘導目標上限値)を5.25%へと引き上げるだろう。
金融市場
- 前日の米国株はまちまち。NYダウは+0.1%、S&P500は▲0.4%、NASDAQは▲1.4%で引け。VIXは21.7へと上昇。
- 米金利カーブはベア・スティープ化。債券市場の予想インフレ率(10年BEI)は2.269%(+4.2bp)へと上昇。実質金利は1.567%(+5.5bp)へと上昇。
- 為替(G10)はJPYが最弱。USD/JPYは133半ばへと上昇。コモディティはWTI原油が79.5㌦、銅は8349.5㌦。金は1814.8㌦。
経済指標
- 10月ケース・シラー住宅価格は前月比▲0.52%、前年比+8.64%。市場予想(+8.00%)に対して減速ペースは鈍かったものの過去数ヶ月の基調が継続し、3ヶ月前比年率では▲11.76%となった。この指標がCPIにおける「家賃」に対して12ヶ月程度の先行性を有することに鑑みれば、先行きはCPI全体に強い下押し圧力をかけると予想される。
注目点
- 日本の11月鉱工業生産は前月比▲0.1%と2ヶ月連続の減産。4~5月に中国のロックダウン影響により大幅な減産となった後、6月は同ロックダウン解除により増産、7~8月は内需回復とサプライチェーン問題緩和が相まって広範な業種が増産となったが、9~11月は自動車生産の回復が一服したことで再び減産となった。国内向け需要は回復基調にあるものの、自動車生産の回復が遅々とするなか、半導体関連(電子部品・デバイス工業、半導体製造装置)の減速が響き、全体の生産は緩慢な回復となっている。
-
12月初旬に実施された生産予測調査に基づけば、製造工業の生産計画は12月が+2.8%、1月が▲0.6%と均してみれば増産計画だが、経産省がバイアスを補正した12月の予測値は▲1.3%とやや大きめの減産となっており3ヶ月連続の減産を想定せざるを得ない。注目の輸送機械工業は12月に前月比+0.1%、1月に▲1.6%と均してみれば減産計画。サプライチェーンの乱れは未だ解消していない。
-
株式市場と関連の深い電子部品・デバイス工業の生産に目を向けると、11月の電子部品・デバイスは前月比+0.5%と2ヵ月ぶりの増産となったものの前年比では▲12.7%となった。指数水準は97.8まで低下し、2019年平均(95.2)まで押し戻されている。生産計画は12月に+7.4%、1月に▲2.4%と均してみれば増産だが、ノートPCやスマホなどの需要減衰を踏まえると、先行きも下振れリスクは大きいと判断される。本邦企業が国際競争力を有する電子部品産業は構造的な需要増加に直面しているとはいえ、2022年入り後はシリコンサイクルの悪化に巻き込まれその勢いを失っている。もっとも、朗報としては在庫の積み上がりに一服感がみられていることがある。11月の在庫水準は前年比+7.5%と相変わらずプラス圏にあるが、5月の+47.0%をピークに明確な縮小傾向にあり出荷・在庫バランス(両者の前年比差分から算出、3ヶ月平均)は▲13.5%と大きくみればマイナス幅を縮小している。在庫循環図の位置取りから判断すると出荷の前年比伸び率が再びプラス幅を拡大(右方向へとシフト)するには相応の時間を要しそうだが、在庫調整の進展は好ましい事象と考えられる。
- 筆者は7月鉱工業生産の発表以降、電子部品・デバイス工業の出荷・在庫バランスが大幅なマイナス圏から反発していることを以って「株価の底を拾うという点で見れば、その時機が近づいているようにも見える」と指摘してきた。この点、11月データは逆張り的な視線でみれば引き続き魅力的にみえる。もちろん世界経済が高インフレによる混乱から抜け出せず、IT関連財の需要が一段と落ち込んでしまえば、出荷・在庫バランスの改善が遅れる可能性はあるが、少なくとも現時点において最悪期脱出の兆候が認められている。現在、世界の株式市場はFedの金融引き締めが圧倒的に重要テーマとなっており、本邦電子部品・デバイスの需給動向などは細かいデータの一つに成り下がっている。ただし、それでも長期的に日経平均と出荷・在庫バランスが連動性を有してきた経緯は重要だろう。

藤代 宏一
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。















