【1分解説】基調的な物価上昇率とは?

新家 義貴

基調的な物価上昇率とは、一時的な要因を取り除き、物価上昇がどの程度持続しているかを示す考え方です。毎月の物価は、天候、原油価格、政府の補助制度などで大きく振れます。金融政策の効果は時間をかけて経済や物価に波及するため、こうした一時的な値動きに頻繁に反応すると、かえって景気や物価の振れを大きくするおそれがあります。このため、日銀は物価の基調を見極めることを重視しています。

もっとも、基調的な物価上昇率を示す単一の指標があるわけではありません。日銀は、①変動の大きい品目や特殊要因を除いた物価指標、②家計や企業、市場参加者などの中長期の予想物価上昇率、③経済モデルから推計するトレンドインフレ率、という三つの方法を用いています。さらに、需給ギャップや労働需給、賃金の伸び、企業の価格設定行動なども確認し、幅広い情報を組み合わせて基調的な物価上昇率を総合的に判断しています。

金融政策との関係でも重要です。物価が一時的に2%を超えても、一過性の要因が中心であれば、日銀が直ちに金融引き締めを強めるとは限りません。一方、賃金と物価が相互に押し上げ合う動きが広がり、基調的な物価上昇率が2%を上回るリスクがあると判断されれば、追加利上げを進める根拠になります。日銀の金融政策を読み解くには、公表された物価指数の数字だけでなく、物価上昇の持続性を見ることが重要です。

この解説は2026年9月時点の情報に基づいたものです。

新家 義貴


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一ライフ資産運用経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。

新家 義貴

しんけ よしき

経済調査部・シニアエグゼクティブエコノミスト
担当: 日本経済短期予測

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