車椅子使用者用の駐車スペースに停めないで!

~パーキング・パーミット制度で解決なるか~

水野 映子

目次

1.車椅子使用者等のための駐車スペースはなぜ必要?

商業施設や公共施設などの駐車場に行くと、出入口の近くに車椅子使用者用の駐車スペース(駐車区画)が設けられている。地面に車椅子のマークが記されていたり、青などの色で塗り分けられていたりすることもある(図表1①)。車を運転する人なら一度は目にしたことがあるだろう。

このスペースは、正式には「車椅子使用者用駐車施設」といい、バリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)により設置が定められている。車椅子使用者は、介助者などが運転する車に同乗する場合もあれば、自身で車を運転する場合もあるが、いずれの場合も乗り降りの際(車椅子から車の座席へ、または座席から車椅子へ乗り移る際)には、車のドアを大きく開ける必要がある。そのため、車椅子使用者用駐車施設は、出入口に近いことのほか、横幅が3.5メートル以上と一般の駐車スペースより広いことが要件となっている。

一方、幅広い駐車スペースは不要だが出入口の近くに停めたいというニーズを持つ人-例えば、車椅子は使っていないが歩行に支障がある障害者・高齢者やけが人、難病者、妊婦や乳幼児連れの人もいる。これらの人々のためには、車椅子使用者用駐車施設とは別に、通常と同程度の幅の駐車スペースを出入口近くに設ける(図表1②)という取り組みも行われている。

図表1
図表1

だが、それ以外の人、いわゆる健常者が出入口に近いこれらのスペースに駐車してしまい、そこを必要とする人が停められないという問題が以前から生じていた。そこで、その解決方法の一つとして「パーキング・パーミット制度」が注目されるようになった。

2.「パーキング・パーミット制度」とは

パーキング・パーミット制度とは、車椅子使用者等のための駐車スペース(障害者等用駐車区画)の適正利用を図るために、利用条件に該当する対象者に利用証を交付するという制度である。つまりその制度のもとでは、利用証を持つ人だけが出入口近くの特定の駐車スペースの利用を許される。

この制度は、2006年度に佐賀県で始まり、2021年末現在、40府県および4市で導入されている(注1)。利用証の交付対象者は障害者・要介護者・難病患者・けが人・妊婦など自治体によって異なり、制度の名称も「障害者等専用駐車場利用証制度」「思いやり駐車場制度」など多岐にわたっている。

国土交通省がパーキング・パーミット制度を導入している自治体に対して実施した調査では、この制度によって駐車スペースの適正利用が促進されたと答えた自治体は9割以上(「促進された」58.3%+「少し促進された」33.3%)にのぼった(注2)。制度には一定の効果があったといえる。

3.駐車・駐輪マナーの向上を

ただし、パーキング・パーミット制度が適応されている駐車場でもなお、利用証のない車が、制度の対象となっているスペースに駐車するなどの不適正利用が指摘されている(前出注2)。この問題に対しては、駐車スペースの看板や標識を目立たせる、ゲートを設置して利用対象の車だけがリモコンやカードなどで入れるようにする、といった物理的な対策が講じられている(前出注2)。また、適正利用を促すための啓発キャンペーンもしばしば行われている(注3)。

一方、これまであまり議論されてこなかったが、自転車・バイクがその駐車スペースや、そこから出入口までの動線上に停められてしまうという問題もある。車椅子使用者等がどのように車を乗り降りし、出入口まで移動するのかについて意識することなく、駐車・駐輪している人も少なくないと考えられる。幅の広い駐車スペースや出入口に近い駐車スペースを本当に必要とする人がいつでも利用でき、そこからの移動もスムーズにできるよう、車はもちろん自転車・バイクの利用者の理解と配慮、マナーの一層の向上も求められる。

【注釈】

  1. 国土交通省「車椅子使用者用駐車施設等のあり方に関する検討の方向性(中間整理)」
    (https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/sosei_barrierfree_tk_000286.html)
  2. 国土交通省「パーキング・パーミット制度事例集 ~障害者等用駐車区画の適正利用に向けた取組~」2019年(https://www.mlit.go.jp/common/001285172.pdf)
  3. 国・自治体が実施したキャンペーンの例としては以下がある。
  • 国土交通省「広い駐車スペースを必要としている方がいます! ~『車椅子使用者用駐車施設等の利用マナー啓発キャンペーン』を実施します~」(https://www.mlit.go.jp/report/press/sogo09_hh_000276.html)
  • 東京都「一都三県(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)共同で『障害者用駐車場の適正利用に向けた普及啓発活動』を実施します」(https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2022/09/30/11.html)

水野 映子


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