武器になる経済指標 武器になる経済指標

マーケット見通し『厳選指標』(2026年10月号)

藤代 宏一

要旨

このページでは筆者が注目する指標を四半期に一度解説します。常に変化する金融市場参加者の関心を踏まえ、その時々の重要指標を選定します。

図表
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  • 台湾は言わずと知れた、半導体の生産集積地であり、今や世界で最も注目すべき経済主体の一つです。AI関連投資の動向を把握する上で極めて重要な経済指標があります。

  • それは毎月20日頃に発表される台湾企業の輸出受注です。輸出受注全体の8割を占めるのは電子部品や情報技術製品で、そこにAIを動かすために必要な半導体関連製品が含まれます。26年7月は前年比+61.9%と驚異的な伸び率でした。製品価格が急騰し、受注額を押し上げた形です。

  • この指標は世界の代表的な半導体銘柄で構成されるSOX指数と連動性があります。25年春頃はトランプ関税等の影響によってかい離が生じましたが、それ以外の局面で波形は一致してきました。半導体銘柄を巡っては、バブルも指摘されていますが、この指標をみる限り、裏付けを伴った株価上昇と言えるのではないでしょうか。

図表
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  • 日本では「賃金上昇率は高いほど良い」といった風潮もありますが、「物価の安定」を考えた場合、高すぎる賃金上昇率は困りものです。米国では2022年頃に賃金インフレに悩まされました。賃金と物価は表裏一体の関係にありますから、賃金上昇率が高まりすぎると、インフレを招いてしまいます。

  • 労働者個々人で考えた場合、10%の賃上げは嬉しいのですが、それがマクロ的な現象になってしまえば、インフレは2%で済むはずがありません。増加した労働コストが価格に転嫁されるからです。

  • その点、最近の米国では賃金上昇率が鈍化しており、安心感があります。雇用統計で示される平均時給は前年比で3%程度の軌道にあり、方向感は下向きです。

  • FRBは関税と原油高に由来するインフレ圧力を警戒していますが、賃金上昇率の鈍化に鑑みると、インフレの基調は緩やかに鈍化すると筆者考えています。

藤代 宏一


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一ライフ資産運用経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。