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2月中下旬から3月上旬にかけては、二十四節気のうえでは、雪が雨に変わり雪解けが始まる「雨水」(2025年は2月18日)、土の中で冬ごもりしていた虫が穴を開いて地上に出てくる「啓蟄」(3月5日)とされます。また、3月3日は日本の伝統的な季節の行事(五節句)のうち上巳の節句(桃の節句)であり、いずれの言葉にも春の訪れが近いことを感じます。
この桃の節句で供される行事食には白酒や菱餅がありますが、蛤の潮汁を楽しむ方もいらっしゃるのではないでしょうか。この蛤、産卵期は夏なので実が太る春が旬ですが、水温が下がり成長が止まることで栄養分が蓄えられる冬も旨みが増して美味しいとされています。シンプルに塩味で調味する潮汁は、その旨みを堪能するのにうってつけです。
日本で食べられる蛤は、在来種であるハマグリ(あるいはホンハマ)とチョウセンハマグリ、そして中国から輸入するシナハマグリです。在来種の主要産地は、チョウセンハマグリを主とする千葉県や茨城県、また三重県や熊本県ではホンハマが獲れ、産地名を冠したブランド蛤もあります。残念なことに、蛤の国内漁獲量は環境の変化や乱獲を原因として激減しています。水産庁の統計によれば、1960年代中頃までは全国で1万トン以上水揚げされていましたが、それ以降は減少。2006年の867トンを最後に、全国統計としての項目からも外れています。また、茨城県が公表するデータによると、同県のチョウセンハマグリの漁獲量は、1989年以降は1,000トン台で推移していたものの、漁獲量は漸減し、2010年代前半は100トン前後に留まっていました。しかし、同県における水産資源保護の努力により、2018年以降は200トン以上の水揚げが続いており、2023年には16年ぶりに500トンを上回る漁獲量があったとのことです。
蛤以外にもサンマやウナギ、サケなど、気候変動や他国による乱獲も含めた様々な原因により漁獲量が減少し、値段も高騰していることでなかなか手が出なくなってしまった海産物が増えているように感じます。旬の海産物や農産物などを楽しむ、あるいはそうした食べ物や行事食に季節を感じる、という豊かさや文化を、何とか未来の世代に繋いでいきたいものです。
宍戸 美佳
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

