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マイオピニオン~若手研究員の意見~『似ているようで違う「節電」と「脱炭素」』

牧之内 芽衣

目次

「節電」と「脱炭素」の違い

世界気象機関(WMO)は、2023年が観測史上で最も暑い年だったと認定しました。2024年もこれから冷房なくして過ごせない夏が来て、電気代に悩まされる日々が始まります。

資料1は、家庭における一人当たりのCO2排出量割合を用途別に示したものです。冷房は2.2%と、暖房(16.9%)と比して少なくなっています。冷房は主にエアコンのみの使用である一方、暖房はエアコンやファンヒーター、ストーブなど様々な機器でCO2を排出しています。冬場にエアコンの代わりにガスストーブを使うことは「節電」にはなるものの、ガスという化石燃料を使うため、「脱炭素」にはなりません。

資料2は、家庭からのCO2排出量割合を燃料種別に見たグラフです。約半分を電力が占めていることがわかります。「節電」でエネルギー消費を抑えることと同時に、CO2排出が少ない発電方法への移行が「脱炭素」には重要です。

電力の脱炭素が重要

資料3のとおり、日本は発電電力量のおよそ7割が石炭・石油・天然ガス等の化石燃料由来です。日本の火力発電所は世界トップレベルの発電効率を誇るものの、従来型の石炭火力発電であれば0.867kg/kWh、高効率化技術の一例である石炭ガス化複合発電(IGCC)であっても0.733kg/kWhのCO2を排出します。EUの基準では石炭火力発電はそもそもグリーンとは認められていませんが、ガス火力発電がグリーンと認められる排出量基準は0.1kg/kWhです(緩和条件あり)。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第六次報告書では、石炭火力発電所については CO2の90%以上の大幅削減ができなければ「対策済み」と認めないとするなど国際的な目線は非常に厳しく、石炭火力発電はしばしば槍玉に上がります。

電力の脱炭素に向けた原子力発電所の再稼働や再生可能エネルギーの利用拡大をめぐり、2024年度中にも策定されると見られる第7次エネルギー基本計画に注目が集まります。

資料1 家庭からのCO2排出量割合(用途別)
資料1 家庭からのCO2排出量割合(用途別)

資料2 家庭からのCO2排出量割合(燃料種別)
資料2 家庭からのCO2排出量割合(燃料種別)

資料3 日本の電源構成別発電電力量割合 (
資料3 日本の電源構成別発電電力量割合 (

牧之内 芽衣


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