Well-being QOLの視点『人生100年時代の現実味』

永原 僚子

「人生100年時代」という言葉を聞かない日はない毎日ですが、「自分はどうなのだろうか」と思われる方も多いのではないでしょうか。

人生100年時代構想会議中間報告では、「ある海外の研究では、2007年に日本で生まれた子供の半数が107歳より長く生きると推計されている」とあります。一方、令和2年国勢調査に基づいた厚生労働省第23回生命表によると、現在の日本の平均寿命は男性81.56歳、女性87.71歳となっています。特に男性の平均寿命は100歳とは20年ほど乖離していることもあり、「人生100年時代」はごく一部の人の話と感じるのではないでしょうか。

しかし、平均寿命というのは0歳児の平均余命、つまり0歳児が何歳まで生きるかというものであるため、新生児死亡等の影響を考慮すると実際には平均寿命よりも長く生きる人が多くなります。「何歳まで生きるのか」を見るうえでより適した指標は、最も死亡数の多い年齢を示す「死亡年齢最頻値」になります。これによると、死亡年齢最頻値は男性88歳、女性93歳で、平均寿命より男性で6年、女性で5年ほど長くなりますが、これでもまだ100歳には届いていません。

もっとも、医学の発達などにより寿命は延びる傾向にあることを勘案すれば、100歳まで生きることはより現実的になってくるかもしれません。令和4年9月1日現在の住民基本台帳では、平成元年には日本全国に3,078人だった100歳以上の高齢者が、令和4年には90,526人と30倍近く増加し、右肩上がりの増加を辿っています。

もう1つ興味深いデータがあります。厚生労働省令和2年労働白書によると、2040年において65歳男性の42%が90歳まで、65歳女性の68%が90歳まで、さらにそのうちの20%が100歳まで生存するという推計値が出ています。

このパーセンテージを高いととるか低いととるかは個人によって違うと思いますが、視点を変えて降水確率に置き換えて考えてみるとどうでしょう。降水確率40%では多くの方が「雨が降るだろうな」と、外出時に洗濯物を外に干さない、折り畳み傘を持っていくなどの何かしらの対策をとると思います。そして降水確率70%となるとほとんどの方は雨が降ることを前提に行動をとるのではないでしょうか。

確かに、今現在のデータだけ見ると人生100年時代を迎えたとは言い切れないかもしれませんが、90歳を超える人生を手に入れたと言えそうですし、若い人は100歳を迎えることが当たり前になっているかもしれません。

かつては人生のリスクというと、災害・病気・死亡でしたが、生命寿命の延伸により、認知症や終末期医療の選択、老後破産などリスクが多様化していると言われています。このような現状の中で一歩先を見据え、「長生きのリスク」とならないためにも人生100年を前提にしてこれからのことを考え準備しておくことは決して過剰なものとは言えないでしょう。

確率何%から準備をするのか。この判断は人によって違いますが、確率が上昇傾向を辿っていることを考えれば、やはり早い段階から備えておくことが重要なのではないかと、降水確率70%の日の梅雨空を見上げながら考えています。

永原 僚子


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