QOL向上の視点『アイデンティティを確立しキャリアを築く』

古村 譲

目次

労働環境の不安定化

人生100年時代に対応して労働環境は大きく変化してきている。キャリアを築く主体は会社や組織でなくなり、個人に委ねられるようになっている。ⅤUCA(ブーカ)の時代と言われるが、この予測不能な状況が、個々人の生活環境に影響し、労働環境もその荒波の中にある。このような混沌とした中で私たちはどのように社会生活を送ればいいのか、キャリアコンサルタントの視点から考えてみる。

QOLとキャリアコンサルタント

キャリアを考えるとき、QOLの向上が常に主題であることに間違いない。QOLの向上を図る観点や要素にはいろいろあるが、①個人の良好な心身の維持、②個人の属性(過去の経歴、現在の年収・財産、衣食住の現状)、③個人の社会生活(組織・会社、地域社会、趣味での係わり、交友関係など)に分けられると考える。家族関係などは、②と③の中間くらいだろう。

キャリアコンサルタントしては、①~③の観点すべてに関わるが、キャリアの性格上、③→②→①の順の密度になると思われる。①については多くの場合その分野の専門家に託した方が適切かと思われる。②については現実として存在していることから対応するというよりは事実の確認となる。一方、③はキャリアの領域そのものであり、プラスにもマイナスにも問題を抱えることが多いと言える。日々働く私たちは、仕事を中心に考えることが多い。家族優先、趣味優先、交遊第一と言っても仕事との兼ね合いの中での順位付けと言える。やはり仕事を中心とした社会生活にキャリアコンサルタントしてもスポットを当てることとなる。

混沌とした社会生活の中でも、より良いキャリアを築くことを支援し、QOLの向上に繋げるのがキャリアコンサルタントの役目である。

アイデンティティの確立が第一歩

より良いキャリア築くために重要なことは、まずは「自分らしさ」を確認することである。不確実な社会にあっては「自分らしさ」を持ち続けないと流されてしまい、自分の方向を見失ってしまうこととなる。

この「自分らしさ」を確認するには、まず自分の過去の経験や出来事からその時々の自分の感情や考え方、勝ち得たもの、得意なことを整理する。成功体験は自信に、苦労を乗り切ったことが忍耐を、資格獲得が能力に、失敗を教訓に、仲間との協働が勇気に等々多々あるが、これらの経験は私たちの現在の価値観や能力を映しだすことになる。自分の過去のストーリーを紡ぎあげることで、自分の価値観や能力を認識し、現在の「自分の姿」を再確認することとなる。この再確認した「自分の姿」を意識して表現したものが「自分らしさ」となる。

このように「自分らしさ」が表現できれば、アイデンティティが確立される。アイデンティティが確立されれば、想定外の出来事にも「自分らしさ」を発揮し乗り切れる。不確実性の高いこの時代に流されず対応できる。

「自分らしさ」を活かそう

キャリアの主体が個人に委ねられるこの時代では、キャリアは自分で進めるものである。そのためには、自分にあった道(価値観に合う)、自分の進みやすい道(能力=強みを生かす)を選ぶことが重要となる。確立されたアイデンティティ(価値観と能力の認識)をもとに、「自分らしい」次の進路を選ぶことである。この進路の先にあるものが目的地となり、そこへ進む過程がより良いキャリアを築くこととなる。

「自分らしさ」を意識して、主体的により良いキャリアを築いていくことで、素晴らしい社会生活を送りたいものである。

古村 譲


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