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- 注目キーワード『EBPMと統計不適切処理問題』/編集後記(2022年3月号)
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EBPM(Evidence Based Policy Making)とは、内閣府のHPによると「政策の企画立案をその場限りのエピソードに頼るのではなく、政策目的を明確化したうえで政策効果の測定に重要な関連を持つ情報やデータ(エビデンス)に基づくもの」とすることです。さらに、こうした「データを活用したEBPMの推進は、政策の有効性を高め、国民の行政への信頼確保に資する」としています。また直近の骨太方針(経済財政運営と改革の基本方針)2021でも、EBPMの推進が取り上げられ、「政策効果をデータで検証する仕組みの構築」が謳われています。声の大小や“カン”ではなく、客観的な基準で政策の優先順位や予算の配分が決められるのは、国の限られた資源を有効に活用していくうえでも大変望ましいことです。
こうしたなか、昨年12月に国土交通省の建設工事受注動態統計調査に関し、長年にわたる調査票の書き換えと二重計上に繋がる不適切処理問題が発覚しました。これは公的統計への信頼を毀損したのはもちろんですが、政府がしばしば「公的統計は国のEBPMを支える基礎的な役割を果たす」と述べている通り、ようやく緒に就き始めたEBPMへの取組みに水を差すことになりました。今後まずは、統計作成上の課題の抽出や再発防止策の策定により統計への信頼回復を図っていくことが第一となりますが、統計の作成者(行政の担当者等)や回答者(企業や個人)も、国の姿を客観的に示す鏡としての統計の一翼を担っているとの気概を持って作成や回答に当たる意識も重要かと思います。不適切に処理された集計や回答が国の正確な姿を歪め、仮にEBPMを進めても、適切な政策や予算執行に繋がらないこともあります。病院の検査で正確な数値が得られなかったら、適切な処置ができないように。そのためには、作成者への教育、回答者への啓蒙とともに、それぞれのフィージビリティ(feasibility、実現可能性)も考えた統計の設計も必要でしょう。
英国で進んでいるEBPMは、行政官・統計部門・研究者が三位一体で進めているそうです(千賀(2019))。すなわち、研究者が発見したエビデンスを行政官が政策立案に活用する、これを可能にする質の高い統計を作成することで統計部門は評価される、英国の研究者は政策現場に影響を与えることで評価される仕組みがあると。これを機に、公的統計や統計部門のあり方への議論が深まるとともに、EBPMが加速・定着し適切で無駄のない政策が実行されていくことを期待します。
編集後記
久しぶりに「インフレ」が金融市場の注目の的だ。経済専門誌に限らず一般雑誌、TVのニュースショーでもインフレが取り上げられる機会が増えている。グローバルに COVID-19による人、モノ、特に化石燃料、の需要と供給のアンバランスで物価上昇が進んでいる。当初はいずれも一時的な要因だからインフレも一時的という意見がコンセンサスであったが、今は「これは違う」と考える人が多い。こうしたインフレの状況に、各国の金融当局は COVID-19で始めた大幅な金融緩和の手仕舞いに動き出している。
引締めは新興国から始まり、主要国では21/12に英国が利上げ、米FRBはテーパリング前倒し、3月利上げが確実視される状況だ。FRBは昨年前半までインフレは一時的としテーパリングにも慎重な姿勢を見せていたし、マーケットも2022年の利上げはあっても年末に1度、25bpというのがコンセンサスだった。それが今や2022年内に4回の利上げを織込み、3月は“Shock and awe”で50bp利上げもあり得るとの観測も出ている。ほんの数か月でコンセンサスが大きく変わったが、債券市場は落ち着いた動きが続いている。FRBの市場との対話が今回も上手く機能したということだろう。
日本でも物価上昇圧力は高まっている。4月には昨年の携帯電話通信料値下げの影響が無くなり、2%近い上昇率になるだろう。身近な食料品の値上げも続くだろう。そうすると各国が引締めに動く中で、「日銀も政策変更を考えているかも?」という見方も出てくる。こうした市場の動きに日銀はどう答えていくのか。市場との対話が大切な局面だ。尤も、対話はコミュニケーションだから双方向の情報発信が重要。日銀だけではなく、市場参加者の力量も問われるような気がする。
松村 圭一
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