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- 注目キーワード『デジタル田園都市国家構想』/編集後記(2022年1月号)
2021年10月に岸田政権が発足し、3ケ月が経過しました。その主な政策には「新しい資本主義」「成長と分配の好循環」「デジタル田園都市国家構想」などキーワードが掲げられています。今回は、この中から、ひと昔前の懐かしさを感じる「田園都市」と、未来社会をイメージする「デジタル」が融合した「デジタル田園都市国家構想」について説明します。
「デジタル田園都市国家構想」という言葉を岸田総理の所信表明演説で初めて耳にした方も多いのではないでしょうか。しかし実際には、自民党デジタル社会推進特別委員会が2020年6月にとりまとめた提言「デジタル・ニッポン2020」で初めて登場した概念です。「都市の持つ高い生産性、良質な情報と、田園の持つ豊かな自然、潤いのある人間関係を結合させ、健康でゆとりのある田園都市づくりの構想を進める」。これは同提言で引用されている大平正芳元総理の言葉ですが、これをDXで実現しようとするのが今回の「デジタル田園都市国家構想」です。DXを都市と地方との格差を解消するツールとして活用し、都市と地方の持つ長所を両立させようというのですから、かなりハードルが高いような印象を持ちます。しかし、コロナ禍で余儀なくされたテレワークにより、私たちは通信環境さえあれば、会社(都市)であっても、自宅(田園)であっても変わらぬ働き方ができることを経験しました。今こそDXをさらに前進させる好機です。
都市と地方の長所を併せ持つ「田園都市」。近代都市計画の祖といわれるエベネーザー・ハワードが提唱した考えで、彼はロンドン郊外のレッチワースに理想とする田園都市を実現しました。日本でも、古くは阪急電鉄創始者である小林一三が室町(大阪府池田市)に、関東では渋沢栄一が田園調布(東京都大田区)に田園都市を築いたことが知られています。鉄道沿線に商業施設や医療・教育施設等を建設することで、近代的で魅力ある都市を形成し、私たちの暮らしと心の豊かさをもたらしました。
世界的に格差が拡大する中、この「デジタル田園都市国家構想」が都市と地方の格差を是正し、地方創生の起爆剤となるのか。そして私たちの暮らしやwell-beingにどのような恩恵をもたらすのか、今後本格化する議論に注目です。
編集後記
今回は新年号です。昨年は第一生命経済研レポートをご愛顧いただき、誠にありがとうございました。皆様からいただくご意見を参考に、より一層お役に立てるよう努力していきたいと思います。
新年号では“明けましておめでとうございます!”と書くのが普通かとも思いますが、なにせこれを書いているのは12月の頭。正月はまだまだ先の話だし街を見ても師走の慌ただしさは感じられない。
2年連続の普通ではない12月。そんな年末風景は今年で終わりにしたいものだが…11月26日、WHOは南アフリカから報告された新たな変異株を“懸念される変異株”に指定したとのニュースが飛び込んできた。これまでより変異が大きく、感染力も強く、既存のワクチンは効かないのではないかとも言われている。主要国ではワクチン接種も進み、行動制限の緩和、ウィズコロナ戦略に舵を切り経済再開に向けて動き出した国、地域が増えてきたタイミングでのニュースで一気に危機感が高まった。ただ“オミクロン株”と名付けられた変異株の特徴はまだ十分には解明されておらず、現状では不必要に危機感を煽ったり、楽観的になり過ぎたりしないことが大切かと。世界には2年近くコロナウィルスと闘って得た知見がある。ワクチンや治療薬の開発、改良も日々進んでいる。世界はパンデミックを終わらせることができる。そう思いたい。2022年には、雑然として慌ただしいけど華やかさもある普通の12月が来ることを祈りたい。
ところで2022年は寅年。相場の世界では「子は繁盛、丑つまずき、寅千里を走り」という。1986年、1998年、2010年、寅は千里を走ったか?
ショックによる落ち込みからの立ち上がりこそ大事。日本の力が試される年になりそうだ。
摩尼 貴晴
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

