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QOL向上の視点『自己投資という資産形成~リカレントというライフデザイン~』

石川 めぐみ

目次

リカレントという言葉がここ数年で定着し、社会人の「学び直し」が注目されている。変化の激しい長寿の時代、学びによる「自己投資」は生涯の資産形成を考える上でも重要になる。

2021年6月に公表された内閣府「第3回『新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査』」では、「仕事に活用するための学び直し」を実施している人は就業者の33.5%を占めた。コロナ禍で勤務形態や業務内容が急激に変化したことで、スキルをつけ自己価値を高める必然性を感じた人も多かったのではないだろうか。

自身の価値を高める「学び」や一定の資格取得には、多くの費用と時間が必要だが、これが自己投資におけるコストでありネックともなる。

投資効率を上げるには、このコストを抑制し、一方でリターンを最大化させる必要がある。

支援制度と周辺理解で費用と時間を確保

公的な費用支援制度や大学等の無料講座の活用はコスト抑制につながる。

教育訓練給付金制度は、一定の条件を満たした雇用保険加入者が厚生労働大臣の指定を受けた対象講座を受講修了すると、受講費用の20%~70%が支給されるものだ。当制度はここ数年で費用の支給率アップ等の改正が行われてきた。対象講座も定期的に見直され、オンライン講座や、夜間・土日に受講できるものも増えている。資格取得講座だけでなく一部大学の講座等も対象とされており、令和3年10月の講座追加後、対象講座数は現在14,245となっている。

大学等講座は、社会人の学び直し支援サイト「マナパス」(文部科学省)で費用、奨学金や教育訓練給付金制度の対象か否かも調べられる。

昨今求められるデジタルスキルについては「巣ごもりDXステップ講座情報ナビ」(経済産業省)が昨年末より開設された。これは無料のオンライン講座を紹介するサイトで、入門編から講座が用意されている。

このような公的支援制度だけでなく、会社員の方は企業の支援制度があればその活用も検討されたい。注目を浴びた経済産業省の「人材版伊藤レポート」では、持続的な企業価値向上のための人材投資への重要性も提言されており、企業による社員教育支援の動向も今後注目されるところだ。

そして社会人の学びには時間の捻出も求められる。例えば社会保険労務士の合格に必要な学習時間は800~1,000時間が目安とされる。テレワークにより生まれた余裕時間や隙間時間の活用はもとより、あらかじめ家族や職場など周囲の人と対話をし、学びの時間を確保するための理解・協力を得ることも必要だろう。

学びの選択は人生の選択

自己投資のリターンを最大化するには「何を学ぶのか」という選択が大切になってくる。

今後の職業人生を見据えれば、選択の際の観点として「専門性や資格」・今後必須となる「デジタルスキル」・VUCAの時代に求められる「リベラルアーツ」等があるだろう。

また、仕事や副業の展開を考えれば、人との「つながり」も資産となるため、学びの場の選択もリターンに影響する。

そもそも「学びのリターン」に何を望むのか。

スキルアップによる昇格や昇給・副業による収入という金銭的なものだけではなく“希望する仕事へ就くため”“より豊かな人生を送るため”という金銭価値とは異なるリターンもある。

リターンに何を求めるかは「これからの人生・キャリアがどうありたいのか」によって決まる。

環境変化に対応できるスキルやレジリエンスを持ち、望むように生きることが自己投資の本来の目的であろう。 人的資本は変化する環境の中で生き抜く力になる。その意味で、自己投資は「最強の投資」といえるのではないか。

石川 めぐみ


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。