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2021.04.01
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時評『Covid-19をCX・DXのチャンスとする心の資本とハピネス関係度』
丸野 孝一
「コロナ禍をチャンスと捉え、変化に対応してイノベーションを起こす」。いま多くの経営者に共通するWith/Afterコロナの経営テーマだと思います。そのような中、デジタルトランスフォーメーション(DX)の利活用がますます重要な経営課題となっています。また、日本企業は価格によるコモディティ競争に陥らないよう、コロナ禍でも顧客経験価値(CX)の創造を忘れてはなりません。だれもが経験したことがないパンデミックの危機に対応して、CX・DXを創造するイノベーションに挑戦する組織はできているでしょうか。「逆風が吹いた時、愚者は風よけを作るが、賢者は風車を作る」。経営者だけでなく従業員も、いま試されています。
昨年4月の本コーナーで、「社員のエンゲージメント・幸せアップと生産性向上」にチャレンジするという「妄想」を書きました。弊社では、株式会社ハピネスプラネットに委託し、社員の「心の資本」「心理的安全性(ハピネス関係度)」を計測する実証実験を、昨年8月より6か月間実施しました*。いま振り返ると全くの偶然ですが、コロナ禍で大幅な業務変革をしなければならない時期に、社員のエンゲージメントの変化を調査することとなりました。
コロナ禍により、調査前の想定から働き方は劇的に変わりました。弊社は70名弱の小さな研究所ではありますが、原則、ほとんどの業務をテレワークで進められるようになりました。レポート発信・講演会実施・テレビ出演など、いままで出社しないとアレンジできないと思っていたものが、在宅からオンラインでレポートをアップロードし、また自宅から全国講演ができるようにもなりました。
デジタル化という面で、第一生命グループ内で遅れていた弊社が、まさにリープフロッグ(蛙飛び)を実現し、今では知的顧客経験(CX)をデジタルで全国配信する最先端の部門の一つとなりました。従来はアナログがメインだったビジネスモデルを転換して、CXとDXに挑戦する組織に変化し始めたのです。その要因の一つは、メンバーシップ型で育った第一生命からの出向者が、研究所の専門家と協働して、コロナ禍で広がった三遊間業務、当初計画になかった新規業務に自律的に挑戦したことから始まりました。当然、社外リソースも積極的に活用しました。まさにダイナミックケイパビリティー(変化対応的な自己変革力)が偶然にも発揮され、それが連鎖した年だったと言えます。親会社から少し離れた「出島」であったことも、変化対応力の点で地政学的に有利に働いたのかもしれません。新たに発生する様々な事象に挑戦すべく仲間が助け合い、試行錯誤や無駄と思える実験を繰り返した結果でもあります。もちろん、成功した事例だけでなく失敗もありました。
8月からの6か月間で、「心の資本」「心理的安全性(ハピネス関係度)」はともに上昇し、挑戦する社員を支える組織に成長するという過程を見える化することができました。社員が互いを信頼し、将来への希望と自己効力感を感じ、前向きな行動をとり続ける一歩であったとしたら、それが一番の成果と言えるでしょう。
DXを活用して社員の「心の資本」と組織の「心理的安全性」をタイムリーに計測し、「そうぞう(想像・創造)力」アップによる生産性向上を目指す組織に変革していくという挑戦は、まさに始まったばかりです。

丸野 孝一
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。


