よく分かる!経済のツボ『逆イールドはどうして注目されるの?』

小池 理人

米国の長短金利差が注目される理由

米国が利上げを続ける中で、逆イールドに注目が集まっています。逆イールドとは、短期金利が長期金利の水準を上回る状態を指し、過去に逆イールドが発生した際には、その後11ヶ月~25ヶ月後に景気後退期が訪れている(資料1)ことから、景気後退の兆候として捉えられています。足元では、短期金利と長期金利の金利差が縮小し(資料2)、逆イールドが発生することが懸念されています。

米国長短金利差の推移と景気後退期
米国長短金利差の推移と景気後退期

米国2年金利と米国10年金利の推移
米国2年金利と米国10年金利の推移

景気後退観測が長期金利に影響を与える

では、なぜ逆イールドは景気後退期の兆候と考えられているのでしょうか。答えは、市場による景気後退観測にあります。金利を決定する要因は複数ありますが、基本的には短期金利が中央銀行の決定する政策金利の影響を強く受けるのに対し、長期金利は市場参加者による将来の見通しに影響されます。金利水準は、一般的に長期金利が短期金利と比較して高い金利水準となる傾向にあります。金利変動に伴う債券の価格変動リスクが高く、資金回収までの期間が長いので、そのリスクに見合った利回りが求められるためです。しかし、市場が将来の景気後退を予測することで、短期金利よりも市場の影響を受けやすい長期金利が低下すると、逆イールドが発生します。つまり、逆イールドの発生は将来の景気後退観測が市場から発せられている(資料3)ことを意味し、それ故に景気後退の兆候とされているのです。

もちろん、逆イールドの発生自体が、必ずしも景気後退をもたらすわけではありません。しかし、多くの市場参加者が逆イールドを景気後退の兆候と考えているため、逆イールドの発生をもって投資家が投資資金の回収を行うなど、自己実現的に景気後退をもたらす可能性もあり、逆イールドの発生が注目されているのです。

イールドカーブの形状と市場参加者の見方
イールドカーブの形状と市場参加者の見方

小池 理人

小池 理人

こいけ まさと

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 日本経済短期予測、観光経済

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