2026年・冬のボーナス予測

~前年比+3.0%と6年連続の増加を予想~

新家 義貴

  • 民間企業の2026年冬のボーナス一人当たり支給額を前年比+3.0%(昨冬同+2.8%)と予想する(厚生労働省「毎月勤労統計」ベース)。冬のボーナスとしては6年連続の増加となるだろう。中東情勢の悪化に伴う資源価格上昇が企業活動の重荷となるなかでも企業収益は高水準を維持している。人手不足を背景とした処遇改善の動きも根強く、今冬もボーナスの増加が続くと予想する。

  • 11月6日に厚生労働省から公表された26年夏のボーナス(賞与支給事業所における労働者一人平均賞与額)は、前年比+5.3%と5年連続で増加し、昨夏の同+2.9%から伸びも拡大した。また、賞与を支給していない事業所も含む「全事業所における労働者一人平均賞与額」で見ても同+5.9%と増加している。賞与を支給する事業所の割合も前年の73.4%から74.0%へ上昇しており、企業の従業員への還元姿勢が強いことがうかがえる。

  • ボーナスの交渉では、春闘時にその年の年間賞与を決定する夏冬型が採用されていることが多い。2026年春闘では、月例給与だけでなく一時金でも増額回答が目立った。企業収益が高水準にあることに加え、物価高への配慮や人材確保の観点から、賞与を含めた処遇改善を進める企業が多かったとみられる。また、月例給与の引き上げが賞与の算定基礎額を押し上げ、支給月数の増加と相まってボーナス増につながる面もある。夏のボーナス増に続き、冬についてもこうした交渉結果が反映される形で増加が予想される。

  • 毎期型の企業、あるいは労働組合が存在しない中小・零細企業においては、より直近の収益状況・業況がボーナスに反映されやすい。もっとも、イラン情勢悪化によるコスト上昇が企業収益の下押し要因となるなかでも、価格転嫁の進展などを背景として企業収益は総じて底堅く推移している。利益の水準も高く、従業員への還元余力はなお保たれているとみてよいだろう。

  • 人手不足感が強いことも、ボーナス増加を後押しする。企業にとって人材の確保・定着は引き続き重要な経営課題となっており、月例給与だけでなく賞与を含めた処遇改善の必要性は高い。物価高によって家計負担が増加するなか、従業員への還元を求める声も強い。こうした点も今冬のボーナス増加を支える要因となる。

  • 労務行政研究所が9月30日に公表した調査によれば、東証プライム上場企業175社の2026年年末一時金妥結額は、前年比+4.2%と5年連続で増加した。製造業が同+4.3%、非製造業が同+3.5%と、いずれもプラスとなっている。大企業中心の調査であり、中小企業やパートタイム労働者も含む毎月勤労統計とは対象が異なるものの、冬のボーナスも堅調に増加するという見方を裏付ける結果といえる。

  • 冬のボーナス増加は家計の所得環境にとって好材料であり、個人消費を下支えすることが期待される。一方で懸念されるのが物価上昇の影響である。中東情勢悪化に伴うコスト上昇の価格転嫁などを背景として、今後は物価上昇率が高まる可能性が高く、政府による電気・ガス代支援の効果を織り込んでも、2027年初にはCPIコアの前年比上昇率が+3%台に達することが予想される。物価上昇による家計の購買力の圧迫が続くなか、ボーナス増加による個人消費の押し上げ効果については過度な期待は禁物だろう。

図表
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新家 義貴


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新家 義貴

しんけ よしき

経済調査部・シニアエグゼクティブエコノミスト
担当: 日本経済短期予測

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