武器になる経済指標 武器になる経済指標

利上げを飲み込めそうな米経済

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均株価は先行き12ヶ月72,000円程度で推移するだろう
  • USD/JPYは先行き12ヶ月155円程度で推移するだろう
  • 日銀は政策金利を12月に1.5%とした後、27年末までに2.25%とするだろう
  • FEDはFF金利を、年内は4.0%で据え置くだろう
  • 9月の米JOLTS統計は労働市場の底堅さを示す結果であり、好感すべき結果であった。筆者は現時点で12月の米利上げは見送られると予想しているが、仮に利上げがあった場合でも、実体経済や金融市場はそれに耐え得ると判断される。11月2日に発表された米ISM製造業景況指数が55.5と強かったこともそうした見方の背景にある。

  • JOLTS統計によると、求人件数は前月比+4.6%の752万件であった。市場予想(710万件)を上回っており、3ヶ月平均値でみても735万件と過去2年程度の上限に接近してきた。引き続き、企業の採用意欲は持ち直し傾向にあると判断される。

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  • かつてFedが注視していた失業者一人あたりの求人件数は1.06と、節目の1を6ヶ月連続で上回り、やや上向きの気配が強まっている。もっとも、大きくみれば2024年以降の求人件数と失業者数は共に横ばい状態であり、失業率が低下していく状態ではない。

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  • 解雇率は1.03%であった。8月までの3ヶ月平均値である1.10%から一段と低下しており、企業が雇用者数の削減になお及び腰であることが窺える。これは過去数ヶ月において新規失業保険申請件数が低位安定していることと整合的でもある。

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  • 平均時給の先行指標として注目される自発的離職率に目を向けると、こちらは2.12%と大きめの上昇となり、8月までの3ヶ月平均である1.96%から上向いた。過去数年の米労働市場は「辞めない・辞めさせない・雇わない」とも言うべき硬直性が認められていたが、その均衡に変化の兆しが認められたことになる。自発的離職率の高まりは、労働者が待遇改善を求めて転職活動を活発に行っていることを意味し、賃金インフレの兆候と理解される。Fedの軸足が「物価>雇用」にある現状、こうした動きが続くようだと、株式市場にとっては厄介になる。原油高に起因するインフレの二次的波及の脅威は現在のところ恐れるに足らないと考えられるが、警戒レベルを一段階引き上げるべきかもしれない。

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  • もっとも、株式市場を占ううえでは、雇用の量的拡大が続く下で、企業景況感が上向いていることも併せて考える必要があろう。ISM製造業景況指数は10月に55.5と7月の水準に比肩した。ISM製造業は、調査回答企業が伝統的な製造業に偏っているため、AI・半導体関連企業の隆盛が反映されていないとの指摘もあるが、S&P500構成企業の利益成長を上手く説明できていることもあり、筆者は株式市場を読む上で重視している。

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藤代 宏一


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