武器になる経済指標 武器になる経済指標

株価は円安とインフレに支えられる

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均株価は先行き12ヶ月43,000円程度で推移するだろう。(修正検討中)
  • USD/JPYは先行き12ヶ月155円程度で推移するだろう。
  • 日銀は半年に一度の利上げを続け、2026年1月までに政策金利は1.0%に到達しよう。
  • FEDはFF金利を25年末までに4.0%まで引き下げ、その後は様子見に転じるだろう。
目次

金融市場

  • 前営業日の米国市場は、S&P500が▲1.6%、NASDAQが▲2.1%で引け。VIXは52.3へと上昇。

  • 米金利はツイスト・スティープ化。予想インフレ率(10年BEI)は2.231%(+2.5bp)へと上昇。
    実質金利は2.061%(+8.4bp)へと上昇。長短金利差(2年10年)は+56.1bpへとプラス幅拡大。

  • 為替はUSDが軟調。USD/JPYは146近傍へと低下。コモディティはWTI原油が59.6㌦(▲1.1㌦)へと低下。銅は8655.5㌦(▲76.5㌦)へと低下。金は2968.4㌦(+17.1㌦)へと上昇。

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注目点

  • トランプ関税によって金融市場は滅茶苦茶な状態にあり、特に株価を巡る不透明感は強い。肝心のEPS(一株あたり利益)の見通しは関税次第にならざるを得ず、予測困難な状況にある。Bloomberg集計によると日経平均採用銘柄の実績EPSは1874となっている。現時点で先行き12ヶ月EPSは+8.38%(2031)の成長がコンセンサスとなっているが、これは今後下方修正が必至とみられる。仮に関税交渉の進展、株主還元の強化などで実績EPSの1874が維持できれば、PER17~19倍(指数ベース)を適用し32000~36000円が一つの目安になってくるのではないか。

  • 為替はやや長い目でみれば、どちらかというと円安が想定される。ここ数日は円高となっているが、安全資産の金が売られるなど金融市場全般が通常想定される反応から逸脱した動きとなっており、そうした下での円高を大きく取り扱うことは避けるべきであろう。日銀の利上げ観測が(4月3日対比で)後退する中、Fedが積極的な利下げを講じるとは限らないため、日米金利差は縮小しにくい。また日本からの自動車輸出の減少によって貿易・サービス収支が悪化するとの見通しから円が売られ易い構図にもなり易いとみられる。

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  • ここで悩ましいのは日米の関税交渉で「通貨問題」が議論される可能性があること。ドル安を好むトランプ大統領が円安にどういった懸念を示すのかが読めず、また交渉相手のベッセント財務長官がどういった円安抑制策を提示してくるかも判然としないが、現実的には、例えばUSD/JPYが160円を視野に入れるなどした場合に備え、介入方針を約束するといった具合になるのではないか。特定の為替水準で介入を迫られる可能性もあるが、それは外貨準備が底を尽きるリスクを内包するため、危険を孕む。日銀に利上げを強要することも考えられなくはないが、現時点ではやや大袈裟な印象を受ける。なお、筆者は日銀が内生インフレを理由に利上げを決めるとの予想を維持している。

  • この間、日本への数少ない朗報として原油価格の下落が挙げられる。原油価格下落は、CPIを下押しする反面、交易条件の改善を通じてGDPデフレータを押し上げるため、名目GDPの拡大に寄与する。仮に自動車輸出の減少によって実質GDPがマイナス成長となっても、原油価格が低位安定を保つなら、名目GDPは国内の賃金・物価上昇もあって拡大を続けると期待される。長期的にみて株価が名目GDPと連動性を維持してきた経緯を踏まえれば、現在の株価水準はやや悲観的な印象さえ受ける。

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藤代 宏一


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