“投資詐欺広告”
“投資詐欺広告”

株価にとって安心感のある企業景況感

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均は先行き12ヶ月41,000程度で推移するだろう。
  • USD/JPYは先行き12ヶ月145程度で推移するだろう。
  • 日銀は、10月に追加利上げを実施するだろう。
  • FEDは9月に利下げを開始、FF金利は年末に5.25%(幅上限)への低下を見込む。
目次

金融市場

  • 前日の米国株は下落。S&P500は▲0.7%、NASDAQは▲0.4%で引け。VIXは12.8へと上昇。

  • 米金利はカーブ全般で金利上昇。予想インフレ率(10年BEI)は2.321%(▲2.1bp)へと低下。
    実質金利は2.160%(+7.3bp)へと上昇。長短金利差(2年10年)は▲46.3bpへとマイナス幅拡大。

  • 為替(G10通貨)はUSDが中位程度。USD/JPYは157近傍へ上昇。コモディティはWTI原油が76.9㌦(▲0.7㌦)へと低下。銅は10417.5㌦(▲1.5㌦)へと低下。金は2337.2㌦(▲55.7㌦)へと低下。

米国 イールドカーブ
米国 イールドカーブ

米国 イールドカーブ(前日差)
米国 イールドカーブ(前日差)

米国 名目金利・予想インフレ率・実質金利(10年)
米国 名目金利・予想インフレ率・実質金利(10年)

米国 長短金利差(2年10年)
米国 長短金利差(2年10年)

米国 イールドカーブ、イールドカーブ(前日差)、名目金利・予想インフレ率・実質金利、長短金利差
米国 イールドカーブ、イールドカーブ(前日差)、名目金利・予想インフレ率・実質金利、長短金利差

注目点

  • 5月23日に発表された日米のPMI速報値は5月の経済活動が加速したことを示した。23日の米国市場では米PMIの強さが利下げ観測の後退に結びついたことで株式市場の逆風となったが、筆者はPMIの上昇は企業収益拡大を示唆するデータであるとの認識から、歓迎すべき材料であると判断している。日本は良好な企業景況感が直ちに金融引き締めに繋がることはないが、PMIと企業業績(TOPIXの予想EPS)には一定の関係がある。米国と同様、PMIの上昇は歓迎すべき事象であろう。

  • 日本の総合PMIは52.4へと小幅ながら上昇し、2023年8月の水準を回復した。製造業PMIが50.5へと0.9pt改善し、1年ぶりに50を上回ったことが効いた。製造業PMIのヘッドラインを構成する5つの項目は、生産(47.8→49.8)と新規受注(49.1→49.8)が共に改善し、雇用(52.2→52.1)は50超を維持。その他では中間投入を示す購買品在庫(49.7→51.3)が増加に転じ、サプライヤー納期(49.8→50.2)は長期化しヘッドライン押し上げに寄与した。IT関連財の在庫調整が完了し増産傾向に回帰する中、自動車大手の工場稼働停止が解け、それが広範な企業の回復に繋がったと推測される。ヘッドライン構成項目以外では、新規輸出受注(49.1→48.4)や受注残(46.7→46.3)に弱さが残るなど回復はまだら模様だが、それでも製造業全体としては上向きの方向にあると判断される。先行きも、国内外における半導体分野の能力増強、北米向け自動車輸出がけん引役として期待される。

日本 PMI
日本 PMI

  • サービス業PMIは53.6へと0.7pt増勢鈍化。マイナス基調にある個人消費と整合的ではないが、価格転嫁が進展する下で、企業の旺盛なDX支出やインバウンド需要(航空、宿泊、飲食)およびその副次的影響などに支えられ、サービス業の企業景況感は良好な水準にある。景況感改善の背景にあるのは価格転嫁の進展であろう。調査項目の一つである「販売価格」に目を向けると、4月に55.5まで上昇した後、5月も55.1と、2014年の消費増税時を除くと既往最高付近にあり、これが名目値の収益押し上げを通じて、企業景況感の改善に寄与していると思われる。これはマイナスの実質個人消費支出と良好な企業景況感(日銀短観やPMI)が併存するという謎に対する一つの答えでもあろう。なお、サービス業PMIの調査対象企業に「小売」は含まれていない。「サービス業」と聞くと、どうしても消費者に近い業種を連想してしまうが、この指標は個人消費を捕捉することが目的ではないため、BtoB業種を多く含む。内需の強さは最終需要者である個人(家計)の動向によって決定されるのが基本であるが、現在のように価格転嫁が進展する下では、家計から企業への所得移転が生じ、両者に温度差が生じていると筆者は理解している。

日本 PMI販売価格
日本 PMI販売価格

  • 次に米総合PMIに目を向けると、5月は54.4と約2年ぶりの高水準となった。製造業PMIが50.9と節目の50を上回ると共に、サービス業PMIが54.8へと伸びを高めた。製造業PMIのヘッドラインを構成する5つの項目は生産(51.1→52.4)の拡大が続き、新規受注(48.7→49.6)も回復傾向を辿り、雇用(52.3→52.8)も50超を維持した。サプライヤー納期(49.5→49.7)は長期化しヘッドライン押し上げに寄与、購買品在庫(46.9→49.1)は増加方向に動いた。強弱区々であるが、全体としては2022年後半を大底に緩やかな上昇基調にある。サービス業は労働コストの高止まりなどの問題を抱えつつも、堅調な内需を背景に良好な水準にある。

米国 PMI
米国 PMI

  • 冒頭で言及したとおり企業景況感は企業業績と一定の関係を有する。日米のPMIと予想EPSを重ねたグラフを見る限り、日米ともに業績には安心感がある。Fedの利下げが遅れることで株式の(債券に対する)相対的な魅力が薄れ、株価が下落する場合もありそうだが、業績が崩れる気配に乏しいことは素直に好感すべきではないか。

日本 製造業PMI・予想EPS
日本 製造業PMI・予想EPS

米国 製造業PMI・予想EPS
米国 製造業PMI・予想EPS

日本 製造業PMI・予想EPS、米国 製造業PMI・予想EPS
日本 製造業PMI・予想EPS、米国 製造業PMI・予想EPS

藤代 宏一


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。