武器になる経済指標 武器になる経済指標

Bad News Is Good News の視点 グローバル製造業PMIは50 を割れ、ISM製造業は50 に接近

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均は先行き12ヶ月28,000程度で推移するだろう。
  • USD/JPYは先行き12ヶ月133程度で推移するだろう。
  • 日銀は現在のYCCを少なくとも2023年4月までは維持するだろう。
  • FEDは年内に125bpの追加利上げを実施。利下げは早くても23年後半以降だろう。
目次

金融市場

  • 前日の米国株は上昇。NYダウは+2.7%、S&P500は+2.6%、NASDAQは+2.3%で引け。VIXは30.1へと低下。
  • 米金利カーブは中期ゾーンを中心に金利低下。債券市場の予想インフレ率(10年BEI)は2.194%(+3.9bp)へと上昇。実質金利は1.440%(▲22.9bp)へと低下。
  • 為替(G10)はUSDが弱めの動き。USD/JPYは144半ばへと低下。コモディティはWTI原油が83.6㌦(+4.1㌦)へと上昇。銅は7508.0㌦(▲52.0㌦)へと低下。金は1692.9㌦(+30.5㌦)へと上昇。

図表1
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図表2
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図表3
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図表4
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図表5
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イベント等

  • 英政府は所得税の最高税率を45%から40%へと引き下げる減税案を撤回。英金融市場は英国債金利低下、ポンド上昇、株価上昇で反応。英金利低下が米国に波及し世界的な金利低下・株高の起点になった。

注目点

  • 9月30日付当レポートで筆者は日本の8月鉱工業生産において電子部品・デバイス工業の出荷・在庫バランスが底打ちしたことを以って「逆張りシグナル点灯」とした。長期的に両者が連動性を有してきたことを踏まえての判断であった。もっともIT関連財を巡るデータは世界全体としてみれば依然弱く、悲観的な雰囲気が長期化する可能性は否定できない。半導体生産拠点の集積地である台湾、韓国のデータは市況好転に時間を要すことを示唆している。

  • 台湾の9月製造業PMIは42.2へと落ち込み、2015-16年や2018-19年に経験したシリコンサイクルのボトムを下に突き抜け、パンデミック発生初期の混乱期にあたる2020年春の水準すら下回った。新規受注が34.2と2021年12月の直近ピーク値から13ptもの垂直的低下となっているのに対して、最終財在庫の減少ペースは鈍く、新規受注・在庫バランスは(パンデミック発生初期を除くと)リーマンショック時よりも悪化した状態にある。公式データの製造業受注をみても2020-21年の勢いは完全に失われている。この間、韓国では輸出(ドル建て)が前年比マイナス圏に接近するなど、世界の半導体市況は冷え込んでいる。

図表6
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図表7
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図表8
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図表9
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図表10
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  • 市況反転はいつになるのか。その鍵を握るのは世界最大の需要地である米国の政策スタンスであろう。その点、3日に発表されたISM製造業景況指数が50.8へと低下したこと、9月グローバル製造業PMIが50を割れたことは、政策当局者に対して一定のインパクトを与えたとみられる。現在Fedはインフレ退治を最優先課題とする姿勢を固持しており、景気減速から目を背けざるを得えない状況にあるが、これら指標の発する悲鳴が一段と大きくなるのであれば、引き締め姿勢が軟化する可能性はある。

  • 過去にISM製造業景況指数やグローバル製造業PMIの50割れは景気刺激策の必要性を訴えかけることで政策スタンスを変化させ、株価底打ちのきっかけになってきた経緯がある。たとえば2012年、2015-16年や2018-19年にこれら指標が悪化し節目の50を割った際は、金融緩和に転じたり拡張的財政支出が講じられたりした。2012年のQE3発動、2016-17年のトランプ政権による景気刺激策、2019年の予防的利下げがそれにあたり何れも金融市場で大きく好感された。いわば「逆張りシグナル」である。最近、Fedが頑なにインフレ退治の姿勢を崩していない現状に鑑みると、今回もそれが機能するかは心許ないが、景況感悪化によって12月FOMCにおける上げ幅が50bpへと縮小し(※11月FOMCの利上げ幅を75bpと仮定)、金融引き締めに対する警戒感が和らぐのであれば、株価底打ちの起点になる可能性はある。当面は“Bad News is Good News”の視点が重要だろう。

図表11
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図表12
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図表13
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藤代 宏一


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。