株式市場的に気になるIT関連財の増勢鈍化

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均は先行き12ヶ月28,000程度で推移するだろう。
  • USD/JPYは先行き12ヶ月117程度で推移するだろう。
  • 日銀は、現在のYCCを少なくとも2023年4月までは維持するだろう。
  • FEDは、2022年は毎FOMCで利上げを実施、年央にはQTに着手するだろう。
目次

金融市場

  • 前日の米国株は下落。NYダウは▲0.2%、S&P500は▲0.6%、NASDAQは▲1.2%で引け。VIXは19.30へと上昇。
  • 米金利はブル・スティープ化。債券市場の予想インフレ率(10年BEI)は2.888%(+2.4bp)へと上昇。債券市場の実質金利は▲0.541%(▲6.9bp)へと低下。
  • 為替(G10通貨)はUSD安傾向。USD/JPYは一時121後半へと下落。コモディティはWTI原油が107.8㌦(+3.6㌦)へと上昇。銅は10367.5㌦(+51.0㌦)へと上昇。金は1933.5㌦(+21.3㌦)へと上昇。

米国 イールドカーブと米国 予想インフレ率(10年)と米国 実質金利(10年)
米国 イールドカーブと米国 予想インフレ率(10年)と米国 実質金利(10年)

米国 イールドカーブ
米国 イールドカーブ

米国 イールドカーブ
米国 イールドカーブ

米国 予想インフレ率(10年)
米国 予想インフレ率(10年)

米国 実質金利(10年)
米国 実質金利(10年)

経済指標

  • 3月ADP米雇用統計によると民間雇用者数は前月比+45.5万人と市場予想に概ね一致。2月と同程度の強さが続いた。1日発表のBLS雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比+49.0万人と予想されている。

注目ポイント

  • 日本の2月鉱工業生産は前月比+0.1%と市場予想(+0.5%)を下回り、経産省が独自に算出した予測試算値(+0.6%)にも届かなかったものの、辛うじて3ヶ月ぶりに増産。自動車が+10.2%と大幅な増産に回帰したほか、汎用・業務用機械(コンベア、圧縮)など5業種が増産。自動車の(前月比に対する)プラス寄与度が+1.4%と圧倒的に大きく、自動車生産が鉱工業生産全体の方向感を決める構図が続いた。

鉱工業生産指数
鉱工業生産指数

  • 3月初旬に実施された生産予測調査に基づけば、輸送機械工業の生産計画は3月に+8.3%となった後、4月も+8.3%と2ヶ月連続の増産が計画され、鉱工業生産全体では3月が+3.6%、4月が+9.6%と大幅な増産であった。経産省がバイアスを補正した3月の予測値は+1.1%と2ヶ月連続の増産見込み。長引くサプライチェーンの混乱によって自動車生産は綱渡り状態が続いている模様だが、少なくとも生産予測調査ベースでは増産傾向の持続が示された。

  • 株式市場と関連の深い電子部品・デバイス工業に目を向けると、2月の生産は前月比▲0.1%と微減であった。3ヶ月平均でみると直近の落ち込みを埋め、持ち直しの動きがみられるが、一方で出荷・在庫バランス(両者の前年比差分から算出、3ヶ月平均)に目を向けると、マイナス幅が拡大しており、先行きが懸念される。サプライチェーン問題が終息に向かう下で最終製品(特に自動車)の出荷が回復すれば、意図せざる在庫の大量発生には発展しないと思われるが、それでも製品需給が緩みつつあることは事実。最近は米通信機器大手が生産計画を下方修正したと伝わっている。本邦企業が国際競争力を有する電子部品産業は構造的な需要増加に直面しているとはいえ、一旦そのモメンタムは鈍化しつつあると判断される。電子部品・デバイス工業の在庫循環図の位置取りから判断すると、在庫を積み増す動きはピークアウトが近づいているようにみえる。同じく株式市場との関連が深い半導体製造装置(←生産用機械工業に分類される)の生産は前月比+2.1%の増産であった。生産水準(3ヶ月平均)は過去のシリコンサイクルのピークを遥かに凌駕しており本邦メーカーの競争力がなお強いことを示しているが、さすがに増勢は鈍化してきた。

  • 株式市場における半導体、電子部品関連銘柄に対する中長期的な期待は大きい。しかしながら、それら銘柄の一部は過大な成長期待が織り込まれているようにみえ、短期的に調整圧力が強まる可能性はある。過去、電子部品・デバイス工業の出荷・在庫バランス(あるいは在庫率)が日経平均株価に連動性を有してきた経緯を踏まえれば一定の警戒が必要だろう。

IT関連財(生産)と電子部品・デバイス工業と日経平均・出荷在庫バランス
IT関連財(生産)と電子部品・デバイス工業と日経平均・出荷在庫バランス

IT関連財(生産)
IT関連財(生産)

電子部品・デバイス工業
電子部品・デバイス工業

日経平均・出荷在庫バランス
日経平均・出荷在庫バランス

藤代 宏一

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