【1分解説】マクロ経済スライドとは?

永原 僚子

  音声解説

マクロ経済スライドとは、人口減少や平均余命の伸びなどの社会情勢に合わせて、緩やかに公的年金額(以下、年金額)を調整する仕組みです。

日本の公的年金制度は世代間扶養という賦課方式をとっており、現役世代の保険料負担が過度にならないように保険料負担の上限が定められました。年金額は賃金や物価に連動して改定されますが、マクロ経済スライドによって上昇幅を抑えることで、公的年金財政の範囲内で調整される仕組みとなっています。

具体的には、物価変動率、賃金変動率で決定される年金額の改定率からマクロ経済スライド調整率を差し引くことで、その年度の改定率が決定されます。物価や賃金の上昇ほど年金額が伸びないため、年金受給者にとっては実質的な給付額が抑制されることになります。2025年度の年金改定では、名目手取り賃金変動率(+2.3%)を用いることになりましたが、マクロ経済スライドによる調整(-0.4%)が適用され、年金額の改定率は+1.9%となりました。

マクロ経済スライドは、毎年フルに適用されるわけではなく、物価や賃金が上昇しても、その伸びが小さく、スライド調整するとマイナスになる場合は、年金額は横ばいとし、未調整分はキャリーオーバーされます。

マクロ経済スライドを行うことで、年金制度の長期的な給付と負担の均衡を保つとともに、将来の年金受給者の年金水準が確保されるよう調整されています。

この解説は2025年2月時点の情報に基づいたものです。

永原 僚子


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。