Side Mirror(2024年10月号)

佐久間 啓

7月31日、日銀は政策金利(無担コール・翌日物)の誘導目標を0.1%から0.25%へ引き上げるとともに、これまで、毎月6兆円程度を購入していた国債買入れの減額(所謂“QT”、量的引締め)を決定した。FRBもECBもQTと利上げを同時に決定したことがないこともあり、7月会合では、事前にアナウンスされていたQTの決定だけで、利上げは次回9月会合だろうというのが大方の市場参加者の見方であったため、サプライズとなった。

会合後の会見で、植田総裁は、「先行きについても、経済・物価情勢に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」とし、完全に利上げフェーズに入ったことを印象付けた。8月に入り、米国の経済指標からソフトランディングシナリオが揺らいだこともあり、金融市場が大荒れとなるなか、内田副総裁が「金融市場が不安定の状況で利上げすることはない」と踏み込んだ発言をしたが、その後の日銀の情報発信では、「見通し通りであれば、金融緩和の度合いの調整を続ける」というスタンスに変更はないようだ。

日銀は1995年以降、無担コール・翌日物金利を誘導するオペレーションを始め、1998年には同金利を正式に政策金利とする対応をとってきたが、1998年以降、誘導目標の最高は0.5%だ。かねてより、植田総裁は、物価安定目標が持続的、安定的に実現するのであれば、政策金利は中立金利近辺になると発言している。中立金利については具体的な水準等にコンセンサスはないが、0.75%程度から1.5%程度と考える人が多いようだ。いずれにしても、今次利上げフェーズでのターミナルレートは、0.5%超が想定されているということだ。

これまで政策金利が0.5%を上回ることができなかったということは、金融市場含めて、日本経済が0.5%を超える政策金利には耐えられなかったということだ。人口動態、グローバル経済の変化、デフレ…、日本経済はこうした問題への適応を終わらせ、0.5%を超える政策金利に耐えられるようになったということだろうか。尤も、なってなければ、それはそれで大問題だが。

(佐久間 啓)

佐久間 啓


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