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マイオピニオン~若手研究員の意見~『高年齢人材の力を企業の「戦略的資源」に』

髙宮 咲妃

目次

高まる高年齢者の活躍期待

2021年4月に改正高年齢者雇用安定法が施行され、70歳までの就業確保措置を講ずることが事業主の努力義務となりました。定年年齢は、1986年に高年齢者雇用安定法が施行され、60歳定年が努力義務化されるまでは55歳定年が主流でした。その後、少子高齢化、公的年金支給開始年齢の引き上げ等の様々な環境変化を受け、段階的に再雇用等も含めた高年齢者の就業確保政策が推し進められてきました(資料1)。

資料1 高年齢者雇用安定法の改正経緯 (出
資料1 高年齢者雇用安定法の改正経緯 (出

内閣府の「令和5年版高齢社会白書」によると、2037年には3人に1人が65歳以上になると言われており、働く意欲のある高年齢者がその能力を十分に発揮できる環境整備が求められています。

高年齢者を「戦略的資源」へ

現在は医療の進展に伴い、高齢者像も大きく変化しています。例えば、2018年時点の体力テストの合計点では、男女とも70~74歳の年齢階級において、20年前(1998年)の5歳下の年齢階級の水準を超えています(資料2)。健康寿命においても、2001年から2016年の15年間に男女とも2歳以上延伸しており、身体機能的にも働き続けることのできる高年齢者は増えています。実際に2012年と2022年の年齢階級別就業率を比較すると、どの年齢階級も10ポイント以上増えています(資料3)。前掲書によると、現在収入のある仕事をしている60歳以上の約4割が「働けるうちはいつまでも」働きたいと回答しており、70歳くらいまで、またはそれ以上との回答を合わせると約9割が高齢期にも高い就業意欲を持っていることがわかっています。

資料2 新体力テストの合計点の推移(1998年~2018年)
資料2 新体力テストの合計点の推移(1998年~2018年)

資料3 年齢階級別就業率の比較(2012年と2022年 単位:%)
資料3 年齢階級別就業率の比較(2012年と2022年 単位:%)

加齢による変化は、身体面・能力面の衰えや低下等、負の側面が強調されがちですが、企業は加齢の影響を受けやすい能力と受けにくい能力をより正確に理解し、人材活用を考えていく必要があります。また、高年齢人材を雇用と年金の接合を目的とした単なる「雇用保障」ではなく、「戦略的資源」として位置づけるべきです。そして、就業能力やモチベーションを長く維持・向上できるように、柔軟な勤務体系やキャリアコーチングの提供など職場環境の整備を本格的に考えていく必要があります。

髙宮 咲妃


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。