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法人企業景気予測調査から見た26年度業績見通し

~デジタル・AIインフラ需要の強靭化と素材・エネルギー分野の価格改定~

永濱 利廣

要旨
  • 2026年7-9月期法人企業景気予測調査で、売上高および経常利益の双方で上方修正された業界と、それぞれの主な要因は以下の通り。
  • 売上高・経常利益ともに上方修正された業種(好調組)のうち「情報通信機械」「電気機械」「業務用機械」は、AIサーバーやデータセンター増設に伴う半導体・電子部品・製造装置の世界的需要増が牽引。高価格帯製品の伸長や操業度の上昇が、売上拡大と高い利益率を同時にもたらした可能性。
  • また「非鉄金属」は、AI・データセンター向け電線や電子材料の実需伸長に加え、銅などの国際市況高とコストの製品価格への転嫁が進んだことで、売上高・利益ともに押し上げられた可能性。
  • 一方、「石油石炭製品」は、期初想定に比べ原油価格や為替が高めに推移したことによる価格転嫁と、適正マージンの確保や在庫評価損益の下振れ抑制が寄与した可能性。
  • 経常利益が上位で上方修正された業種(採算改善組)は、まず「紙パルプ」。原燃料費高騰を受けた製品値上げの定着に加え、エネルギー・パルプ価格の上昇ペースが期初想定より和らいだことで、採算性が大きく改善した可能性。
  • また「木材・木製品」は、価格転嫁の浸透や国内の非住宅分野向けの需要下支え、木材市況の落ち着きによる仕入・販売価格の乖離の正常化により利益率が回復した可能性。
  • 売上高・利益が揃って伸びた「IT・デジタル関連」や「非鉄・石油」が実需と市況高で業績を牽引する一方、「紙パルプ」「木材」などの素材系業種は価格転嫁の浸透とコスト高の一服による採算性の正常化が利益上方修正の主因となったことが推察される。
目次

1.経常利益が増益計画に転換

9月11日に公表された2026年4-6月期法人企業景気予測調査(内閣府、財務省)は、今年5月下旬にかけて資本金1千万円以上の法人企業に対して行った景気予測調査であり、来期の業種別企業業績計画を予想するための先行指標として注目される。

そこで本稿では、今年10月下旬からの今年度決算発表において、来年度の企業業績計画の好調さが見込まれる業種を予想してみたい。

図表1は、本調査のうち全規模・全産業の各調査時期における売上高と経常利益計画の年度見通しを見たものである。まず売上高を見ると、26年度は増収率が上方修正となっている。このことから、決算でも今期の売上高計画が強い業種には注目が集まるものと推察される。

図表
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一方、経常利益は製造業・非製造業とも26年度は増益に転じる計画となっている。このことから、10月下旬からの決算発表では、大幅な増益計画が打ち出される業種には注目が集まるものと推察される。

2.売上高大幅上方修正の「非鉄金属」「石油・石炭製品」「情報通信機械」

以下では、10月下旬からの決算で、来季売上高計画で高い増収率が期待される業種を見通してみたい。図表2は26年度の業種別売上高計画(全規模)と、前回調査からの修正率を比較したものである。

図表
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結果を見ると、26年度は「鉱・採石、砂利採取」以外の業種で増収計画となっている中で、特に前回調査から上方修正率が高い業種は「非鉄金属」「石油・石炭製品」「情報通信機械」「電気機械」「業務用機械」となっている。

まず「非鉄金属」については、AIサーバー、データセンター向け電力網の増設に伴う電線・ケーブル需要や、半導体・電子部品向け銅箔などの高機能材料の増産が寄与していることが推察される。また、銅などの国際市況が堅調に推移したことに加え、原材料コストの上昇分を販売価格へ適正に転嫁したことで、売上高が押し上げられた可能性も指摘できる。

続いて「石油石炭製品」については、期初想定に比べ原油価格や為替水準が高めに推移したことを受け、製品価格への反映が進んだことで売上高金額が増加したことが推察される。また、航空需要の回復や各種工場向けの燃料需要が想定以上に着実に推移したことが下支えとなっている可能性もある。

続いて「情報通信機械」については、世界的なAI投資拡大と先端半導体の投資再開に伴い、半導体製造装置やネットワーク機器の需要が期初計画を大きく上回るペースで拡大しており、高性能機器への需要シフトに伴い、単価の高い製品の出荷比率が高まったことが売上高の増加に貢献している可能性がある。

また「電気機械」については、スマホやPCの買い替え需要の一巡に加え、車載用電子制御ユニットやEV・HV向け部品、省エネ産業機器などの出荷が回復・拡大していることに加え、データセンターや再生可能エネルギー設備向けの電力制御部品・変圧器などの設備投資関連需要が堅調に推移していることが推察される。

さらに「業務用機械」は、深刻な人手不足を受けた工場自動化ロボットや物流省力化機器、自動化システムの導入が期初想定以上に加速していることに加え、精密加工機械や検査装置など、先端製造ライン向けの産業用機械の出荷が堅調に推移したことが推察される。

3.経常利益大幅上方修正の「情報通信機械」「石油石炭製品」「紙パルプ」

続いて、経常利益計画から上方修正が期待される業種を見通してみよう。結果を見ると、多くの業種で増益計画に転じる中、上方修正率が高い業種は「情報通信機械」「石油石炭製品」「紙パルプ」「非鉄金属」「木材・木製品」であり、いずれも2桁の上方修正率となっている。

まず「情報通信機械」については、先端半導体製造装置やAIサーバー関連機器、通信インフラなどの世界的な需要増を受け、売上拡大がそのまま利益の押し上げに直結したことに加え、単価の高い先端品・高機能製品の比率が高まったこと、および工場の操業度向上が利益率を大きく改善させたことが推察される。

また「石油石炭製品」は、原油価格や為替の動向に応じた適切な価格改定が進み、販売マージンが確保されたことに加え、期初想定に比べ原油価格や為替水準が一定の範囲で推移したことで、在庫評価面での下振れリスクが抑えられたことも寄与している可能性がある。

続いて「紙パルプ」は、原燃料費や物流費の高騰を受けた製品価格の値上げが浸透し、採算性が大幅に改善したことに加え、パルプ価格やエネルギー価格の上昇ペースが期初想定より穏やかになったこと、あるいは自助努力による省エネ・コスト削減効果が利益を押し上げたことが推察される。

続いて「非鉄金属」は、銅やアルミなどの市況価格が堅調に推移したことに加え、EVや電力網・データセンター向け電線・電子材料など、粗利益率の高い高機能材料の出荷が増加したことに加え、コスト増を加工賃や製品価格へ反映させる取り組みが進み、利益幅が確保されたことが推察される。

また、「木材・木製品」は、価格転嫁が進んだことで採算が改善されたほか、国内の非住宅分野での木造化・木質化需要などが下支えとなったことに加え、一時期の急激な木材市況の変動が落ち着き、仕入価格と販売価格の乖離が解消・正常化したことが利益率の改善につながったことが推察される。

なお、日銀が10月2日に公表する9月短観の業種別収益計画(大企業)は、法人企業景気予測調査に比べて聞き取りのタイミングが若干遅いことから、9月短観における大企業の収益計画も期末決算と来期業績見通しを読み解く手がかりとして注目したい。

図表
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永濱 利廣


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一ライフ資産運用経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

永濱 利廣

ながはま としひろ

経済調査部 首席エコノミスト
担当: 内外経済市場長期予測、経済統計、マクロ経済分析

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