米国:天候の改善により住宅着工は大幅増(26年3月)

~許可件数の減少など建設コスト高による先行き不透明感は継続~

桂畑 誠治

目次

1. 住宅着工は天候回復を背景とした一時的な急増

26年3月の住宅着工件数(季節調整済、年率換算)は150.2万戸となり、前月比+10.8%(前月:135.6万戸、同▲3.0%)へと急増した。これは、市場予想中央値(ブルームバーグ集計)および筆者予想の138.0万戸(同▲0.4%)をいずれも大きく上回る結果である。

内訳をみると、着工の基調を示す「一戸建て住宅着工件数」が103.2万戸、前月比+9.7%(前月:94.1万戸、同+4.8%)と加速した。2月の悪天候による遅延からの反動増が押し上げ要因となったものの、販売の伸び悩み、資材コストの高騰、労働力不足といった構造的制約が根強く、先行きは再び低下する可能性が高い。一方、「集合住宅の着工件数」は47.0万戸、前月比+13.3%(前月:41.5万戸、同▲17.0%)と大幅に増加した。月次での変動は大きいものの、深刻な在庫不足と穏やかな天候に支えられ、トレンドとしては着実に水準を切り上げている。

地域別では、最大市場である南部および西部が増加したほか、北東部と中西部は大幅な増加となった。慢性的な在庫不足に加え、例年より穏やかな天候下で、州政府による用途地域制限の緩和を受けた集合住宅プロジェクトが進展したことが寄与している。特に空室率が低い北東部での強い需要が、全体の押し上げに繋がった。

2. 許可件数はコスト増への強い警戒感等を背景に先行きの不透明感を示す

先行指標となる3月の住宅建設許可件数(季節調整済、年率換算)は136.3万戸、前月比▲11.4%(前月:153.8万戸、同+11.0%)と、着工件数とは対照的に減少に転じた。内訳は、一戸建てが89.5万戸、同▲3.8%(前月:93.0万戸、同+6.2%)、変動の激しい集合住宅が46.8万戸、同▲23.0%(前月:60.8万戸、同+19.2%)となり、いずれもマイナスを記録している。

地域別では、南部を含む全4地域で許可件数が減少した。これは建設業者が先行きに対して慎重姿勢を崩していないことを示唆しており、許可件数は一戸建て主導で緩やかな減少傾向を辿っている。

現在の住宅建設を取り巻く環境は、不確実性の高まりや高い実質金利を背景に停滞感が漂う。金利の高止まりや価格上昇に伴う販売鈍化で在庫が増加していることに加え、トランプ政権による関税賦課や不法移民取り締まり強化を巡る懸念が、建設コストの増大や需要減退のリスクとして意識されている。こうした背景から、業者は新規着工に対して慎重なスタンスを維持している。

3. 先行き底堅い需要と供給制約が相克

26年の住宅販売は、モーゲージ金利の限定的な低下や実質所得の拡大、建設業者による販促策などにより、小幅な増加が見込まれる。しかし、トランプ関税による資材価格の上昇懸念や、移民規制強化に伴う労働力不足・人件費高騰が、供給側の強い下押し圧力となる。建設業者の悲観的な見方は維持される可能性が高く、26年の一戸建て住宅着工件数は前年比+1%程度(25年前年比▲1.1%)の僅かな拡大にとどまる見通しである。

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桂畑 誠治


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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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