米国:イラン・中東情勢が価格を押し上げ(26年3月PMI速報)

~サービス業38ヵ月連続、製造業8ヵ月連続で拡大圏を維持~

桂畑 誠治

要旨
  • 26年3月のS&Pグローバル米国総合購買担当者指数(PMI)速報値は51.4(前月51.9)となり、前月の51.9から0.5ポイント低下した。製造業の活動が活発化した一方、サービス業の活動が抑制された結果、全体の拡大ペースは鈍化した。市場予想中央値(Bloomberg集計)の51.9(筆者予想52.1)を下回ったものの、景況判断(拡大縮小)の分岐点である50を38ヵ月連続で上回っている。トランプ政権による関税政策やイランへの軍事行動といった政策不確実性が高まる中においても、総合PMIは拡大を示す水準を維持しており、調査対象企業の活動や民間需要の底堅さが改めて示された形となった。発表元は「紛争に伴う不確実性の高まりや生活費の上昇が需要を押し下げている」と評価している。
  • 部門別にみると、製造業PMIは52.4 (前月51.6)と0.8ポイント上昇し、8ヵ月連続で50を上回った。一方、サービス業PMIは51.4(前月51.9)となり、堅調な国内需要を背景に38ヵ月連続で拡大圏を維持したものの、前月から0.5ポイント低下するなど、低下傾向が続いている。発表元は「旅行や輸送、観光関連の課題は、金融市場の不安定やアフォーダビリティー面での制約によって一段と深刻化している」と言及した。特に金利上昇やエネルギー価格の高騰、サプライチェーンの遅延の影響が懸念されており、イラン・中東情勢の混迷による価格上昇と供給制約の影響が浮き彫りとなっている。
  • 主要項目の動向では、総合新規受注は、52.4(前月52.5)と微減し、需要の拡大ペース鈍化を示した。製造業が海外需要の回復もあり52.8(同50.9)と上昇した一方、サービス業は52.3(同52.8)へ低下した。また、総合雇用は49.7(同50.4)と低下し、雇用の伸び悩みを示唆した。製造業が50.3(同50.4)、サービス業が49.6(同50.4)と、ともに前月を下回る水準となった。
  • インフレ関連では、関税や賃金上昇を背景に、総合投入価格が63.2(前月60.0)、総合産出価格は58.9(同56.9)とともに上昇した。イランによるホルムズ海峡の事実上の封鎖がエネルギー・資源価格を押し上げており、企業がコスト増を価格転嫁している様子が顕著となっている。製造業では、投入価格が65.5(同61.4)、産出価格が59.3(同54.8)とともに大幅に上昇しており、財価格の押し上げと引き換えに製造業のマージンの若干の改善が示された。サービス業でも投入価格指数が62.8(同59.7)、産出価格指数が58.8(同57.2)と上昇しており、サービス分野でも依然として強いインフレ圧力が継続している。
  • 詳細な構成要素をみると、製造業では雇用が50.3(前月50.4)へ低下したものの、生産が52.9(同52.7)、新規受注が52.8(同50.9)、在庫が50.4(同48.8)と上昇した。サービス業では、活動指数が51.1(前月51.7)と事業活動の底堅さを示した。新規受注は、52.3(同52.8)へ低下したものの需要の堅調さは維持されており、先行きを示す「将来の活動指数」も62.6(同63.4)と高水準を保っている。サービス関連企業は、依然として先行きに対し楽観的な見方を維持している。
  • 四半期ベースの基調を確認すると、1-3月平均の総合PMIは52.1となり、10-12月期の53.8から低下した。これは、米民間需要の拡大ペースが緩やかに減速したことを示している。製造業が52.2(10-12月期52.2)と横這いで推移した一方、サービス業が51.8(同53.8)と低下したことが、全体の拡大ペース鈍化に繋がった。
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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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