米国 12月小売売上高は前月の反動で鈍化  

 ~小売の拡大基調は緩やかにペースダウン~

桂畑 誠治

要旨
  • 12月の小売・飲食サービス売上高は、前月比0.0%(前月同+0.6%)と市場予想中央値(ブルームバーグ集計)の同+0.4%を下回った(10、11月に合計0.1%下方修正)。前年比では、小売・飲食サービス売上高は、+2.4%(前月同+3.3%)と鈍化した。12月の小売売上は、年末商戦の前倒しの反動によって、鈍化した。
  • 業態別の前月比の動向をみると、食品・飲料が増加に転じたほか、無店舗小売が加速した。また、建設資材が前月と同じペースの高い伸びを続けた。一方、自動車・同部品、家電、薬局、衣料品、その他小売、飲食店が減少に転じたうえ、家具が減少幅を拡大した。さらに、一般小売が減少を続け、スポーツ用品・本・趣味用品、ガソリンスタンドが鈍化した。
  • 主要13業態のうち、拡大した業態が5業態(前月9業態)と減少し、縮小した業態が8業態(前月3業態)と多くの業態で縮小した。拡大した5業態は、建設資材、食品・飲料、ガソリンスタンド、スポーツ用品・本・趣味用品、無店舗小売。縮小した8業態は、自動車・同部品、家具、家電、薬局、衣料品、一般小売、その他小売、飲食店。
  • 12月小売・飲食サービス売上高(前月比▲0.02%、前月同+0.55%)の主要13業態の前月比寄与度をみると、押し上げ寄与の業態は、大きい順に、建設資材(+0.07%、同+0.07%)、ガソリンスタンド(+0.02%、同+0.13%)、食品・飲料(+0.02%、同▲0.02%)、無店舗小売(+0.01%、同+0.01%)と続いた。押し下げ寄与の業態は、大きい順に、自動車・同部品(▲0.03%、同+0.22%)、衣料品(▲0.03%、同+0.02%)、その他小売り(▲0.02%、同+0.03%)、飲食店(▲0.02%、同+0.09%)、家具(▲0.01%、同0.00%)、薬局(▲0.01%、同+0.02%)、百貨店を含む一般小売(▲0.01%、同▲0.01%)。なお、ゼロ寄与となったのは、家電(0.00%、同0.00%)、スポーツ用品・本・趣味用品(0.00%、同+0.01%)。
  • 小売売上統計の他の分類でも、実質所得や資産の増加が続く中、セールの前倒しなど企業の販促等で需要が先食いされたこと、労働市場の軟化傾向や消費者マインドの悪化傾向が続いたことを背景に鈍化した。自動車を除く小売・飲食サービス売上高は、前月比0.0%(前月同+0.4%)と減速し、市場予想中央値同+0.4%を下回った(10、11月合計0.1%下方修正)。自動車・ガソリンを除く小売・飲食サービス売上高は、同0.0%(前月同+0.3%)と鈍化し、市場予想中央値同+0.4%を下回った(10、11月合計0.2%下方修正)。GDPの算出に使用されるコントロール・グループ(自動車・ガソリン・建材・飲食店を除く小売・飲食サービス売上高)は、前月比▲0.1%(前月同+0.2%)と縮小に転じ、市場予想中央値の同+0.4%を下回った(10、11月合計0.3%下方修正)。 また、小売売上高の基調を判断するうえで重要なコア小売売上高(自動車・ガソリン・建材を除く小売・飲食サービス売上高)は、同▲0.1%(同+0.3%)と失速したうえ、10、11月に合計0.3%下方修正された。この結果、3ヵ月移動平均・3ヵ月前対比年率で+2.6%(前月+3.2%)と鈍化し、小売売上の増加基調は緩やかに勢いを弱めている。四半期では、10-12月期は前期比年率+2.6%と7-9月期の前期比年率+6.0%から大幅に減速した。 10-12月期の小売売上は、実質給与所得や資産の増加、企業の販促等によって支えられたが、関税政策や移民の取り締まり強化等のトランプ政権の政策によって消費者の不安感が高まるなか、EV支援策の終了、政府機関の一部閉鎖の影響を受け、鈍化したと判断される。
  • 10-12月期の実質個人消費は、実質給与所得や資産の増加傾向、企業の販促等によって支えられたものの、政府機関の一部閉鎖によるサービス消費の鈍化、価格上昇、節約志向の強まりを背景に、前期比年率+2.5%(7-9月期同+3.5%)と減速したと予想される。
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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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