米国 7月住宅着工件数増加も一戸建ての停滞が継続

~住宅建設は、不確実性の高まりや実質金利の上昇を背景に停滞持続~

桂畑 誠治

要旨
  • 25年7月の住宅着工件数(季節調整済み、年率換算)は、142.8万戸、前月比+5.2%(前月135.8万戸、同+5.9%)と、市場予想中央値(ブルームバーグ集計)の129.7万戸、前月比▲1.8%に反して増加した(5、6月合計5.6万戸上方修正)。
  • 着工の基調を示す「一戸建て住宅着工件数」が93.9万戸、前月比+2.8%(前月91.3万戸、同▲3.8%)と増加に転じた他、「集合住宅の着工件数」は、48.9万戸、同+9.9%(前月44.5万戸、同+33.6%)と2ヵ月連続で増加した。一戸建ては在庫の増加、販売の伸び悩み、コスト上昇等を背景に一時的な増加とみられ、停滞を続けていると判断されるもと、集合住宅への需要が回復しつつある。
  • 7月の住宅建設許可件数(季節調整済み、年率換算)は、135.4万戸、前月比▲2.8%(前月139.3戸、同▲0.1%)と市場予想中央値の138.6万戸、同▲0.5%を下回った(5、6月合計+0.4万戸上方修正)。一戸建て住宅が87.0万戸、同+0.5%と建設中の物件の減少もあり、小幅の増加に転じた一方、集合住宅が48.4万戸、同▲8.2%と建設中物件の増加もあって大幅に減少した。建設業者が需要の先行きに慎重な見方を強めており、許可件数は一戸建て主導で徐々に水準を切り下げている。
  • 足元の住宅建設は、不確実性の高まりや実質金利の上昇を背景に停滞している。金利高止まりや価格上昇等による販売鈍化によって在庫が増加した他、建設業者がトランプ政権の関税賦課や不法移民取り締まり強化を受けた更なるコスト増や需要鈍化への懸念を強め、新規の住宅着工に慎重になっている。
  • 25年の住宅販売は、高いモーゲージ金利が抑制要因となるものの、雇用・所得拡大の継続、企業の販促等によって、小幅の持ち直しが見込まれる。このような中、住宅着工件数は緩やかなペースで回復すると予想されるが、2月に建設業者の先行きに対する見方が悲観に転じたように、トランプ関税への懸念、不法移民の取り締まり強化等を受け、一戸建て住宅着工件数は目先停滞を続けると見込まれる。25年の住宅販売は前年比+0.2%(24年同▲0.3%)と小幅増加するものの、在庫の高止まりによって、住宅着工は、同▲0.4%(24年▲3.5%、23年▲8.4%)と減少幅の縮小にとどまると予想される。
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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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