米国 トランプ2.0はマイナス成長のスタート (25年1QGDP:1次推計、予測値)

~個人消費が暴風雪で減速したが、情報化投資が大幅増加し民需を押し上げ~

桂畑 誠治

要旨
  • 25年1-3月期の実質GDP成長率(1次推計)は、前期比年率▲0.3%(10-12月期同+2.4%)と22年1-3月期の同▲1.0%以降で初めてマイナス成長となった。市場予想同▲0.2%(筆者予想同▲0.6%)を小幅下回ったものの、直前のアトランタ連銀のGDPナウ予測同▲2.7%を大幅に上回った。

  • もっとも、1-3月期は、関税賦課前の駆け込みによる輸入の急増や、暴風雪による個人消費の一時的な下振れの影響でマイナス成長となった他、民間国内最終需要は設備投資の拡大によって前期比年率+3.0%成長と堅調さを維持しており、米経済が急激に悪化したわけではない。

  • 1-3月期の個人消費は、同+1.8%(10-12月期同+4.0%)と1月の暴風雪による縮小や、昨年末に販促等によって高い伸びとなった影響で減速した。自動車などの耐久財が減少に転じた他、非耐久財、サービスが鈍化した。また、住宅投資は、悪天候や建設業者のマインドの悪化等によって同+1.3%(同+5.5%)と減速した。一方、設備投資は、情報化投資の拡大や民間航空機メーカーなどのストライキ終了で、前期比年率+9.8%(同▲2.9%)と増加に転じた。増産投資が同▲1.4%(同▲1.0%)と減少幅を拡大した他、建設投資が同+0.4%(同+2.9%)と鈍化した一方、情報化投資が同+31.6%(同▲1.8%)、輸送機器投資が同+13.2%(同▲17.2%)、知的財産投資が同+4.1%(同▲0.5%)と増加に転じた。以上より、民間国内最終需要は、同+3.0%(同+2.9%)と加速し高い伸びを維持し、民間需要の堅調さを示した。また、政府支出が連邦政府の民間企業への発注の見送りなどの支出削減を背景に同▲1.4%(同+3.1%)と失速したことで、実質国内最終需要は同+2.3%(同+3.0%)と減速したものの、同+2%台の伸びを維持しており、国内最終需要は堅調さを保っていると判断される。 このような中、関税賦課に備えた在庫積み増しによって、在庫投資のGDP寄与が同+2.25%(同▲0.84%)と大幅なプラスとなった。しかし、関税賦課前の駆け込みによる輸入の急増を背景に、純輸出のGDP寄与が、同▲4.83%(同+0.26%)と大幅なマイナスとなったため、実質GDP成長率は同▲0.3%(同+2.4%)と失速した。

  • 前年同期比では、1-3月期の実質GDP成長率(1次推計)は、+2.0%(10-12月期+2.5%)と鈍化したが、堅調さを維持した。他方、インフレ統計では、1-3月期のPCEデフレーターが+2.5%(同+2.5%)、PCEコアデフレーターが+2.8%(同+2.8%)と下げ渋った。ただし、家計負担の実態により近い市場ベースのPCEコアデフレーターは+2.3%(同+2.4%)と低下傾向を辿っているほか、PCEデフレーターは+2.1%(同+2.1%)とFRBの目標付近まで低下しており、トランプ関税の本格発動を前に、消費者の負担が徐々に和らいでいたことが確認された。

  • 4-6期には、4月の自動車輸入に対する25%の関税賦課、10%の相互関税や中国への125%の追加関税賦課の他、自動車部品、銅、医薬品、半導体、木材などへの関税賦課が計画されるなど、不確実性の高まりが続くとみられ、設備投資は鈍化すると予想される。一方、輸入はトランプ関税発動前の急増の反動によって減少に転じ、GDP押し上げ要因になると見込まれる。また、個人消費は、価格上昇の影響を受け減速するものの、3月に高い伸びとなったことで、4-6月期に+2%台後半に加速すると予想される。このため、4-6月期の実質GDPは前期比でプラス成長になると見込まれる。

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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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