イベントカレンダー『各国の主要政治・経済イベント予定』(2026年9月号)

阿原 健一郎

9月の各国主要政治・経済イベント

9月の政治・経済イベント「食料品消費税減税に関する税制改正大綱」

税制改正大綱は、翌年度以降の税制をどのように見直すかについて、政府・与党が基本方針を示す文書です。大綱そのものに法律上の効力はありませんが、税率や控除、適用時期など、その後の法案づくりの設計図となります。通常は各省庁が8月末までに改正要望を提出し、秋に与党税制調査会などで議論を重ね、12月に大綱を決定します。政府はこれを基に法案を作成し、翌年の通常国会へ提出、年度末までの成立を目指すのが一般的です。

今回は、通常の税制改正全体とは別に、食料品の消費税減税だけを切り出した大綱を9月にまとめ、秋の臨時国会に関連法案を提出する方針です。政府は、軽減税率の対象となる飲食料品について、2027年4月から2年間、税率を8%から1%へ引き下げます。さらに中低所得者向けに1%相当の所得連動給付を組み合わせることで、政策全体として「実質ゼロ化」を目指します。施行までにレジや会計システムの改修、価格表示やインボイス(適格請求書)の税率変更対応が必要なため、年末を待たず制度の骨格を固める狙いがあります。

食料品の消費税率引き下げは、日々の買い物で支払額が直接減るため、物価高で低下した家計の購買力を下支えする効果が期待されます。特に、所得に占める食費の割合が高い低所得世帯ほど負担軽減を実感しやすく、消費税の逆進性を和らげる点がメリットです。また、現金給付に比べて効果が貯蓄に回りにくく、食費で浮いた資金がほかの商品やサービスの購入に向かえば、個人消費や企業の売り上げを押し上げ、内需を支える可能性があります。

一方で、減税には大規模な財源が必要となります。財政への信認低下や国債金利の上昇を招くリスクを避けるため、政府は赤字国債には頼らないと明言していますが、執筆時点では、その具体的な代替財源や確保の見通しは示されていません。また、他要因による値上げによって減税効果が打ち消され、店頭価格に十分反映されないことで、家計の負担軽減効果が想定より小さくなる可能性もあります。短期的な負担軽減や給付付き税額控除への円滑な移行と、財政の持続可能性をどう両立するかが問われます。

(主席エコノミスト:阿原健一郎)

阿原 健一郎


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